【utit】甘く甘く溶けるまで (ページ25)

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志麻 × 初デートページ25

志麻 side

9:50＿＿待ち合わせ10分前。いつもではあり得ないほど早い行動。

(俺らしくねぇな……)

自分でも呆れてしまうほどに楽しみにしているのはやっとの思いで振り向かせた彼女との初デート。
やっとの思いで振り向かせたのだ、このデートでさらに惚れ直させてみせる、、、！
一人で意気込んで綿密に立てた計画を頭の中で反復する。

待ち合わせ5分前、ふっとスマホに視線を落とし連絡が来ても良いように待つ。真面目で良い子なAちゃんのことや、そろそろ来る気が、、、

チョンチョン

っと袖が引っ張られ、そちらへ視線を移動すると俺の待ち人の姿。
普段はストレートな髪の毛はふんわりと毛先がカールされ、耳元で控えめに光るピアス。服装はシンプルかつ俺の好みを撃ち抜く。ボーダーのプルオーバーに緩いシルエットのジャケット、それに合わせるのははいウエストのキュロットパンツ、すらりと綺麗な足の先には底の低いスニーカー。よく見たらネイルもしてきてくれている。可愛すぎる彼女に俺は何度もシミュレーションしたのに平静を保てなかった。

『、、、っAちゃん！おはよう』

「志麻くんおはよう、お待たせ」

『お待たせって言ってもまだ５分前やから』

「それもそうだね」

『、、、Aちゃんの私服、めっちゃくっちゃかわええ。』

はねる心臓を押さえて彼女を褒めれば顔を赤くして慌てふためく彼女。

「あ、ありがとう、、、志麻くんも！おしゃれで、かっこいい、です、、、」

自分で言い出したのに恥ずかしくなったのかだんだんと小さくなる声でかっこいいと言われ俺まで照れてしまう。かっこいいなんて言葉、何度も言われてきたのに彼女の口から発せられるその言葉は特別だった。

『ふふ、ありがとう。じゃいこか？』

そう言って手を差し出すと頭にクエスチョンマークを浮かべる彼女。

『手、つなご？』

わからない彼女に特別大サービス。答えをあげると赤い顔のまま駆け寄りキュッと俺の手を握った。
わかってはいたが華奢で小さい彼女の手は愛おしくて二度と離してたまるもんかと思う。