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A「__じゃあ、今日はありがとう」
う「ん、ならまた連絡する」
渉が曲がり角を曲がったのを見届けて、マンションの鍵を開けて、エレベーターに乗る。
思わずふぅ、と息をついて軽く壁に寄りかかる。リュックの重荷が肩にのしかかる感覚がして、どっ、と疲れが押し寄せる。
今日は濃い一日だった。別に渉と会ったのが疲れたわけじゃなくて…と言ったら嘘になるけど。しっかり5時間講義を受けたのもあって、どうしても、今から帰って夕飯を作らなければならないと思うとほんとに憂鬱だ。
エレベーターから降りて、自分の部屋の鍵を開けて寝室に行ってベッドに潜り込む。
A「ねむ………」
そのまま目を瞑って少し寝ようと、目を瞑れば、意識はすぐに深いところへ落ちていった。
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A「ん………」
まだぼんやりとした頭で、手元のスマホで時間を確認する。
(6時……)
そういえば、昨日は帰ってそのまま少し寝ようとしたら…こんな時間まで寝てたのか…
A「うわ、化粧そのまま……」
眠い目を擦り、風呂場に行こうとすると、ピコン、と通知が鳴った。
(渉だ)
タップして画面を見ると、『来週飯食べに行かね?』というメッセージがきていた。
カレンダーを急いで確認すると、来週は土曜日なら空いていた。
学校が終わって…夜なら大丈夫だろう。
(…『来週の土曜の夜ならいいよ』、)
カレンダーに『わたるとごはん』と書いて、ついでに昨日の日にちに斜線を引く。
(今日は、ゆっくり準備をしようかな)
いつもは7時頃に起きて30分で準備を済ませてバタバタして出るけど、お風呂を早めに済ませて準備して…夜は昨日の喫茶店に寄ろう、もしかしたら渉も居るかもしれない。
(渉に会えるかな…)
柄にも無くそんなことを思って思わず赤面する。
これは、違う。友人として、昔からずっと一緒に居たから、信用してるから、気が合うからということで、別に………
そこまで思ってからは早かった。昨日の渉の顔や行動、笑った顔、優しいところ、全てが急に流れ込んできて、はっと気付いた。
昨日、渉の顔を見た時顔が真っ赤になった理由。少しでもかっこいいと思ってしまった理由。
(…単純か)
漫画みたいじゃないか。たまたま幼なじみと再開して、好きになるとか。
(しかも初恋じゃん。)
初めて人を好きになるという感覚を知ったというのに、案外落ち着いていて自分が吃驚してしまった。
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ちょこ - 終わってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます! (2021年10月13日 22時) (レス) @page38 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
蝶朱(プロフ) - 千衣さん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2020年5月25日 19時) (レス) id: 454b44bd04 (このIDを非表示/違反報告)
千衣(プロフ) - 蝶朱さん更新楽しみに待ってまーす! (2020年5月25日 18時) (レス) id: 831be97d67 (このIDを非表示/違反報告)
蝶朱(プロフ) - 紅葉さん» ありがとうございます!私も何とかウイルスのせいで休校です笑 そんな風に言ってもらえて嬉しいです!更新頑張ります! (2020年3月3日 16時) (レス) id: 454b44bd04 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - んんん尊いッ 何とかウイルスのせいで!コロナ何とかのせいで!←学校がないから…こういう小説読めるのが1番の幸せです…マジで作者さん生まれてきてくれてありがとうございます← そして更新ファイトです! (2020年3月3日 0時) (レス) id: 9cddad8678 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蝶朱 | 作成日時:2019年11月18日 16時