33.大学二年生、春。 ページ34
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「二人が出てきましたよ!」
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天使からの幸せのおすそ分けにノリノリで前に行くみんなを
少し遠巻きから見つめて幸せを噛みしめる。
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桜が咲く頃を狙って行われた二人の結婚式は
季節さえも二人を祝福するように、その希望を叶えてくれた。
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世間を賑わせる名探偵の結婚...なんてメディアが騒いでも
蘭ちゃん思いな彼は、親しい人だけでの式を希望して
それでもそこそこの人数が集まった。
親族から始まり、共通の友達、警察関係者。
喫茶店で仲良くなった...阿笠博士と、三人の少年探偵団。
赤茶の髪をまとめた美人や、外国の人。
それから......梓さん...の、隣にいる彼も。
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「コナン君、来れなくて残念ですねぇ」
「ですね。新一君づてに手紙は届いたそうですけど」
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送り主は、零さんと関わりがあるらしい工藤君。
彼は安室透宛に招待状を送った。
だから彼は今、安室透だって事情は理解している...のに。
炎上するだけあって(?)どこから見てもお似合いな二人に
正直ちょっとだけ、もやもやしたり。
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「あのブーケは君が考えたんだろう?」
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低くて落ち着いたトーンの声に、勢いよく振り返る。
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「......よくわかりましたね」
「勘はいい方なんだ」
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零さんよりもう少し背が高くて...端正な顔立ち。
流暢な日本語だけど、日本人には見えなかった。
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「素敵なブーケだな」
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ありがとうございます、そう言おうとして
誰かい肩をぐいって引き寄せられる。
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「彼女に気安く話しかけないでくれます?」
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わあって大きな歓声と一緒に肩の手は離れたけど
私の隣に立っているのは...零さんで。
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「ああ...すまない、君のgirlfriendだとは知らなくてね」
「恋人じゃない。妻だ」
「そうか、素敵なpartnerだな」
「他に言いたいことはあるか?」
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結局その人は肩を竦めたら
愛を誓い合うこの場所で争い事は...とかなんとか言って
あっさりと引き下がっていった。
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「...零さん、今の」
「.........妬いた。悪いか」
「ふふ。ううん」
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零さんに聞いても、名前は教えてもらえなかったけど。
エメラルドグリーンの瞳をしたキューピッドに
心の中で、そっとお礼を言った。
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名無し98724号(プロフ) - 本当にキュンときました…素敵な小説すぎて一気読みしました。他のお話もですが、書き方がとってもお上手で尊敬しております!少しお聞きしたいのですが、BTという小説を読まれたことはございますか…?(急に失礼ですよね、すみません)素敵なお話ありがとうございました! (2020年3月29日 3時) (レス) id: f858c9eb21 (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - さちさん» さちさん、ありがとうございます!新作も引き続きよろしくお願いします! (2019年1月31日 11時) (レス) id: 12dd65b537 (このIDを非表示/違反報告)
さち - 初めから最後まで一気に読んでしまいました。素敵でした。新作も楽しみです。よろしくお願いします。 (2019年1月31日 9時) (レス) id: ae1bab64f5 (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 深月さん» 深月さん、ありがとうございます!私自身、無事に完結してホッとしています笑 (2019年1月28日 16時) (レス) id: 12dd65b537 (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - すごく素敵なお話でした…!大好きです! (2019年1月26日 13時) (レス) id: a93ea5789b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ももこ | 作成日時:2018年12月27日 15時