臆病者ヒーロー。【水溜りボンド】 (ページ23)

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【だれかの心臓になれたなら】×【Kanta】ページ23

この前シルクで書いたつもりだったので今回はカンティーで書きます。
夢主さんの過去描写が少し入ってます。

＿＿

こんな世界と嘆く誰かの
会社の上司が嫌だとか学校怠いとか…

生きる理由になれているかな。
俺らの動画を見るために生きていてくれるかな。

この動画はきっと最初で最期です。
公開することはないでしょうが。

これは僕の彼女であり親友のAへの動画です。

君と僕が出会った時君の見ている世界は
街も人も歪んで見えていたんだ。

僕にはそれが分かりませんでした。

君は自分の生きる意味も夢も全部見失っていた。
形骸化していた夢がもう錆びついてしまっていた。

僕にはそれも分からなかった。

「愛」が欲しい。
それはきっと誰もが思っていた。

でも君は「愛」に誰よりも飢えていた。

震える手をとって

僕は傘を差し出しこう言った

『醜いくらいの愛をあなたに差し上げます。』

「こんな私。こんな世界。無くなってしまえ。」
と嘆いていた君の生きる理由になれていたでしょうか。

いつか人は死ぬ。
そう気づいて死へと秒を読んでいく心臓に耳を傾けるかも知れない。

いっそこのまま雨に溺れて藍に染まってしまいたい。

またそう思うことがあるかも知れません。

でも、その時はあの日のように俺は笑って傘を差し出すよ。

大好きだよ。A。

＿＿＿＿
A視点

私がカンタに出会った時。

私には街も人も何もかも歪んで見えて仕方なかった。

夢も希望も何もない真っ暗な世界にいました。

人の愛という暖かいものに触れたことがない私は愛に飢えていた。

現れたあなたに震えてた手で手を伸ばした。

するとあなたは私の手をとり、傘を差し出しこう言いました。

『醜いくらいの愛をあなたに差し上げます。』

「こんな私。こんな世界。無くなってしまえ。」
と嘆いていた頃の私にとってあなたの優しさが、全てが。
生きる理由でした。

人はいつか死ぬ。既に分かりきった事だけど。

人の死に直面してこの心臓はあと何回鼓動するだろうと
心臓に耳を傾けるかも知れない。

雨に溺れて藍に染まって居なくなってしまいたい。

そんな風にもし考えてしまったら
あなたは私にまた私に笑って傘を差し出してくれますか？
光を照らしてくれますか？