#25 異常 ページ28
玄関の方に目をやる。
__人間さんだ。
「あ、水色くん。ただい
『水色〜〜遅いぞ〜〜』
……あ。」
と、人間さんの声に被せるように、赤が寝室から声を出す。
僕はちょうど、人間さんがいる位置の直線上にいた。つまり人間さんから丸見え。そして、赤の声も丸聞こえだった。
__修羅場。焦り。
これまでに、赤が僕に怒って雰囲気がピリついたり、殺意らしいものを感じたりしてきた。散々焦ることがあった僕だけど、正直なところちょっと慣れてきていることもあった。
__今まで以上。船での全滅の経験並の危機感。下手したら、それ以上の危機感や焦りが今ここにある。
汗が出てくる
「……今のは?」
(っ……いや、その)
『……帰ってきてるのか、あいつ』
無愛想に言う赤。
__おかしい。
玄関が開いた音も赤に聞こえているはず。人間さんが喋った時、合わせたように喋り始めて、自分の声を強調。最初から人間さんが帰ってきてるのは気づいてるように思える。
なのに、今気づいたような言い方。
__赤はわざと声を発した?自分から気づかれにいったのか?なんで?
わからない。冷静になれ僕……
赤が寝室から出てくる。
とても気味の悪い笑顔。
『おっと。帰ってるのか。__ 初めまして、だな』
「っ……赤くん……。初対面じゃ、ないよ」
『まあまあ、こうやってコミュニケーションをとるのは初めてだろ?』
「………」
その場で立ち尽くす人間さん。
時間が止まったような感覚。静寂が流れる。
………
『……なぁ。
__お前、俺が“インポスター”なの知ってるだろ?』
ナイフを取り出し、人間さんと距離を詰める赤。
雰囲気で感じた。本気で人間さんが危ない。
止めなきゃ
(……ちょ、ちょっと待って、流石にダメだって、落ち着いて赤、ねぇ)
『来るな。邪魔だ』
ドンッ
冷たく言われると、思いっきり突き飛ばされた。
床に叩きつかれる。痛い。
(っ……)
「あっ、水色く__」
『お前はこっちに集中しろ』
ドガッ
「ッかはっ゛……」
(っ……人間さんの……腹をグーパン…??)
すぐに状況を飲み込めなかった。
赤が、殴った。人間さんを。突然のことに驚くことしかできなかった。
体が思うように動けない。
僕は改めて感じた。
__異常。赤は本気だ。
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小寒 - 凄くいいので早く続きを読みたい… (10月6日 21時) (レス) @page29 id: cb2d68e6ae (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - あ、ID違いますが中身は同じです… (2023年4月7日 18時) (レス) id: b483d92de2 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - コメントありがとうございます。そう言ってもらえてとても嬉しいです。現在復旧中…もうそろそろできそうです! (2023年4月7日 18時) (レス) id: b483d92de2 (このIDを非表示/違反報告)
リース(プロフ) - コメント失礼します!書いていたデータ飛ぶのマジ萎えますよね...(私も飛んだ事あるので)そしてこの作品好みです!がんばってください! (2023年4月4日 18時) (レス) id: db830d80cd (このIDを非表示/違反報告)
朱欄(プロフ) - いえいえ!あの漫画が面白くアレンジされててすごく好きです!応援してます! (2023年2月12日 22時) (レス) id: efb6a7397d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらげ | 作成日時:2021年9月2日 8時