詐欺 ページ13
A side
…やべえ、眠いとか言ってたのに眠くなくなった。
だけど、今そのこと言ったら家事とか手伝わされそうだから黙って寝とこう。
「…Aさん、寝てないね？」
…だ、大丈夫大丈夫。カマかけだから。多分、ね、大丈夫大丈夫。
「…家事手伝わせないから本当のこと言って」
「……起きてる。ねれなかった」
「よし、皿洗い手伝って」
「詐欺だ」
ちくしょう、と思いつつ皿洗いを手伝う。
…終わった。
そういや、さっき真昼が課題取りに行ってくるとかなんとかで家帰ってたな。
もうそろそろ帰ってくるんじゃねえかな。
「…あ、真昼君達来たっぽいね！」
噂をすればなんとやら…いや、私の中でしか噂になってねえな。
…はい、課題取り組もうぜ、ってなわけで。
琴葉と真昼の二人の課題を見る。
私が見る理由ないと思うんだよね。
辞書とか参考書とかあるからそれ勝手にみてね、って感じ。
「A、数学わかんない」
「…どこが」
「すべて」
「中学からやり直してこい」
わからないところがわからないんだろ？
高校って中学の発展だからな？
マジで中学からやり直してこいよ、もう。
「…そういえば、夏休みの予定表？みたいなのあったよな。
それなんて書いたんだ？」
「適当に本屋行ったとかゲーセン行ったとか。
半分以上嘘。
吸血鬼と戦ったって書いたら普通にダメだろ」
「確かにね！ってわけでAお願い！」
「…筆跡は似せとく。後でマンガ３冊な」
「お願いします！」
「いや、ダメだろ！」
琴葉の字って丸字？みたいな感じで書きやすいんだよ。手疲れるけど。
「……ん、書いた。プリントは？」
「もう八割終わった！」
「まだ三割くらい…」
「まあ、ゆっくりやっていけばいいよ。
少しペース落としても十分間に合うから」
その時、スマホが震えた。
画面を見ると、姫名だった。
「…もしもし？
…え？課題終わらない？
知るか、自力で終わらせろ。
…教えろっつったって…え？
桜哉君とお前とキリナと…は？大智達も？
…六人？無理に決まってんだろ。
…え、今向かってる？ふざけんな？
……わかった、教えるよ。
後でマンガ２０冊な。もしくはゲームソフト一つ。よし、いいな。
じゃ、また後で」
通話を切って、ため息をつく。
「…ちょっと音楽聴かないとやってらんねえ」
イヤホン取ってこよう。
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作者名：リリムゥ | 作成日時：2018年5月13日 17時
