紳士な女 (ページ7)

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居候【剣心視点】ページ7

「か、揶揄(からか)うな！」

初めて聞く翡翠の艶を含んだ女性に声に自然と熱が集まるのを感じ思わず昔の口調で怒鳴ってしまったのが聞こえたのか薫殿が身動ぐのが見えた。

『悪かったって、でも実際長い事一緒に居たから寝付けないってのはあると思うんだよ』

翡翠の言葉に確かに有り得なくはないかと思い、ひとつ頷く。それなら実際試してみるか？いや、格好はいくら男でもAは正真正銘の〝女〟幾ら長年の付き合いがあっても問題あるでござろう。

『…同じ部屋で布団離しとけば良いんじゃないか？』

「その手があったでござるな！」

悶々と考え込んでいる中で助け舟の案にポンと拳で掌を叩く、翡翠は何故こうも拙者の考えている事が分かるのでござろう…昔と変わってなくて安心するでござるな…。

「…そろそろ良いかしら？」

「おろ？薫殿起きていたでござるか？」

『剣心が考え込んでいる間に起きてたよ』

呆れた声色でそう告げる翡翠に乾いた笑いしか出ないでいると薫殿が話に参加したそうにそわそわと落ち着きない様子なのが伺えた、真っ直ぐというか…純粋な女子でござるなぁ。

「あ、そうそう！さっきの話、うちに居候するって話してたの？」

『一応そういう話だけど、無理にとは言いませんよ。私は旅籠に泊まれるくらいの路銀は有りますからね』

「勿論良いわよ！私翡翠さんともっと話してみたいの！後、敬語は無しね！」

やはり薫殿は心が広いでござるな…。あ、翡翠の性別の事は言うべきなのか…翡翠の判断次第でござるな。

『そう？あ、部屋は剣心と一緒で良いから』

「ええ、わかったわ！」

この様子だとバレるまで言う気は無いでござるな…。
気付かれぬようにため息をつくとかすていらに手をつける。

『そろそろ夕餉(ゆうげ)の支度をした方が良さそうだな、今日は住まわせて貰う礼として私に任せてくれるか？』

「え、でも……一人で大丈夫？」

『大丈夫、慣れてるから気にしないで』

何やらほのぼのとした雰囲気の二人に自然と笑みが浮かぶ。

「厨(くりや)には拙者が案内するでござるよ、ついでに材料の場所等を説明するでござるよ」

『そうして貰えると助かるな』

今までの経緯は聞きそびれてしまったでござるがそれはまたの機会、でござるな。
薫殿は道場の片付けへ、拙者と翡翠は厨へと向かい二人で協力して夕餉の支度をする事に。
まるで修行時代の様だと互いに顔を見合わせて笑みを浮かべた。