紳士な女 (ページ32)

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本性ページ32

｢武田観柳？その男何者でござる？｣

｢街外れに住んでる青年実業家だよ、表向きはな｣

『裏では結構汚い事やってるらしい、ここ数年で急成長して一大私兵団築いてる胡散臭い男だよ。政治家やヤクザですら争いを避けてる』

彼等の言う武田観柳という男がどんな男か言い捨てると左之助はヤツの情婦(イロ)かと女に問うも彼女は否定しそんな男は知らないと言っているさなかに部屋の隅から声がする。

｢嘘はいけねェな、高荷恵｣

『…』

いつの間にか部屋の中にいた知らぬ小柄な男に皆が驚く中翡翠と剣心は険しい表情をしている、男が言うには彼女はいつどんな時でも検琦という者の配下に見張られているという。それを聞き先程までのか弱い女性から一変し気丈な態度に。

｢…フン、でも観柳の情婦(イロ)じゃないってのは本当だよ！帰って観柳に伝えな！私は絶対逃げ切ってみせるってね！｣

高荷恵と呼ばれた女はそう男に言捨てるがその直後に男の指先から何かが飛んでくる、それ高荷恵の後ろにいた男二人に命中する。命中したそれは螺旋鏢(らせんびょう)というらしく次は両足を狙うと言い次を投げてくる、彼女の前にずっと立っていた翡翠は畳を返して螺旋鏢(らせんびょう)を防ぐ。

｢事情はよく飲み込めぬが、やはり放っておく事は出来ぬでござるな｣

『そうだね、特にこんなか弱い女性や無関係の人を巻き込んだんだりするようじゃ…たかが知れているな』

散々な物言いの二人に対し逆上し再び仕掛けようとするもその時既に剣心と翡翠が逆刃刀を抜き男に斬りかかっていた。男は気絶してしまい、周りは武田観柳の私兵団をのした事に顔が青ざめている。

「ふーん…強いわね。特にそっちの赤髪の剣客さん無敵そう…。どう、そこの坊やも三人私を観柳から守って逃がしてくれない？
報酬は十二分に払うからさね？」

「って俺はついでかよ…。んなコトよりよまず説明が先だろ」

「え」

「仲間(ダチ)がふたりも怪我してんだ、事情聞かねーと納得できねーぜ！」

『君力強いんだからそんな強く握ったらだめだよ、高荷、さん…と言いましたか私からも説明はお願いしたい。貴女から阿片(アヘン)の匂いがすることも含めてね』

凄い剣幕で強い力で恵の手首を掴む左之助を宥(なだ)めながらも恵に視線を移し微笑みかけるが、その口から出てきて驚いた表情をする中気まずさで視線を逸(そ)らす恵。
確かに彼女は阿片を所持してるのだ。