紳士な女 (ページ31)

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逃走麗女ページ31

天気の良いある日の神谷道場、響き渡るのは人を探している薫の声。見つからない探し人に見つからず顔色を変える薫の横を通り過ぎざまに左之助と翡翠と三人で出かけたと告げる弥彦、真偽を問う薫に怒りつつも呆れ返ってそんなに心配なら首輪でもつけとけと冗談で言うも彼女はその様を想像し顔を赤らめている。
結局弥彦のツッコミを最後に三人の行先を聞くと行先は集英屋という料亭で賭場(とば)に駆り出されたのだという、その事実に驚き先程までとはまた別の大きな声が道場に響き渡った。

｢どっちでえ？｣

｢…五－六で半｣

『何でわたしまで…』

所変わって集英屋の一室では確かに賭場が開かれていた、掛け声と張る男達の声、意気揚々とした左之助に対し嫌そうな剣心と何故自分までがここに居るのかと肩を落とす翡翠。先程から剣心の読み通り当たっている為ご機嫌な左之助、呆れつつ違法だと告げる剣心に逆刃刀の事を言われては口を閉ざざるを得ない。
心配しなくても仲間内でやる遊びで生業賭博では無い遊びだと告げる。

｢どーもよぉ、おめえは何事も真面目すぎていけねーよ。もっと気楽にならねーと人生全然楽しくねーぞ｣

『まあ、それは言えてる…かな』

｢せっかく来たんだ、思いきりパァーと楽しんでシケた気分は今日限りにしな｣

『言っておくけど私は言ってないからね』

｢おろ？左之は勘が働くでござるなあ｣

何かあったと知っているような左之助の発言に最初こそ刃衛の事を話したのかと翡翠を見やる剣心だが返ってきた答えは否、彼の洞察力の賜物と分かり表情が柔らかくなる。

｢んな事より次だ次！今度は半か？丁か？｣

『｢…一-一(ピンゾロ)の丁(でござるよ)｣』

揃って予想するとその通りの結果に、その後も二人の力を借り左之助は勝ち続けご機嫌な様子でバクチ好きな友人が居ないことを聞けば今月の頭に帰らぬ人となっていた事を知り驚き声を荒らげる。死因は阿片(アヘン)だと聞き拳を握りしめる左之助に対し剣心は妙だと口にした時、バタバタと大きな足音と共に美しい女性が駆け込んできて翡翠に抱きつき助けを乞うてきたのだ。

｢おろ？｣

『…私の後ろに居てください』

そう彼女へ告げてすぐガラの悪い男二人が刀を持って追いかけてき、友人の死を知り虫の居所が悪い左之助は二人のうち一人を伸してしまう。残った一人は武田観柳(たけだかんりゅう)の私兵団だと強がり喚くと周りに居た男達の顔色が変わり騒ぎだす。