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私の肩から男の手を振り払ってくれた拳はむしろ清々しいくらいの笑顔で男たちに淡々と告げていく。
「俺の彼女に触らないでもらえる？ていうか相手嫌がってんのわかんないの。お兄さんたちもいい大人じゃん、相手が明らかにそっちに興味ない感じ出してたのにそれに気づかずずっと話してた？初対面の人にこんなこと言うのもどうかと思うけど馬鹿なわけ？」
淡々と普段の問読みのように噛むことなく話す拳に男たちは舌打ちをして何も言わずにどこかに行った。
「拳！おそい！」
「ごめんね、改札出る方間違えちゃってさ」
「何回もここで待ち合わせしてるのに？」
「だってAが絡まれてるなんていうからこっちも焦るよ、嫌な思いさせたね遅れてごめん」
よかった無事で、さ、行こっか、といって片手にスマホを持ってスタスタと歩き出した。
ねぇ、ちょっと、
「ねぇ！」
「なに？」
こっちは待ち合わせ時間前からいたしその上知らない男たちに絡まれていた。それについては謝ってくれたけどまだ言われてないことがある。
「なんか気づかない？」
なんで知らない男たちから言われて彼氏からその言葉はないのか。
「なんかって？」
「もう、髪切ったの！！しかも今日は巻いてるし、この靴！おろしたて！ワンピースも！」
拳からまだ言われてないかわいいという言葉、この男はそういうとこにとことん鈍感で私が努力してるのがたまに虚しくなる。
「あの人たちには言われたのに、、拳は言ってくれない、かわいいって…」
はぁ、自分が嫌になる。こんなめんどくさい女でごめんね、でもやっぱり言葉にしてほしいんだ。
君を好きになってからたくさん努力してきた。君は人気者だからたくさん君を好きな人がいて、私は君に見てもらえるようにはじめて友人と一緒に服を買いに行ったりした。
根っからのいわゆるリケジョで普段から男女比9:1くらいの環境にいたらこっちだってそれ相応の態度じゃないと舐められる。
めんどくさい性格になったことは十分理解してるし、彼と付き合ってからそれがより増してる気がする。
「A」
「ん、」
「今日もかわいいね」
「ありがと…」
そう言って笑う拳に私も現金なものですぐ機嫌がよくなる。
「ん、」
「あぁ、手繋ごっか」
差し出した左手にするりと指を絡ませて恋人繋ぎする拳、車道側を歩く彼にまた好きが募る。
なんだかんがこっちが振り回されてばっかりだけど
『ワールドイズマイン』
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作者名：あまさく | 作成日時：2023年11月8日 20時
