ぷっつん mn ページ25
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「あー…」
さいっあくな日だった。
明日使う資料のUSBを間違えて給湯室のゴミ箱に捨てたあげくその上にインスタントコーヒーの出涸らしが捨てられたものだから肝が冷えたなんてもんじゃなかった。
これは運良くクラウド上にブラッシュアップ前のものが残ってたからどうにか完成まで終わらせた。
改札前でパスケースを落としたあげく雑踏に飲み込まれ私の元に戻ってきた時にはへこみ霞んでいた。結構お気に入りだったのに。
帰宅時の今、空から降ってきた白球。
気晴らしにと遠回りしていつも通らない河川敷を歩いたのが間違いだったのだろうか、白球の正体は河川敷のグラウンドで野球をしていた少年たちのホームランボールだった。
右中間を飛び抜け、ぐんぐん伸びて落ちた先は私の目の前、そしてワンバンして顔面直撃。お詫びの印にもらったジャースより今のうちからサイン色紙でももらっとけば良かったかな。
そして自宅の玄関前なう。
冒頭のため息はかばんを漁って鍵を職場に忘れたことに気づいて出たものである。
日はまだ高いとはいえ今から電車に乗って職場に向かおうものなら間違いなく帰宅ラッシュに巻き込まれる。あ、今日金曜日じゃん、なおさらやだな。
「うぅ…」
思わずズルズルとその場にへたり込んだ。
なんかこうもうまくいかないもんかな…なに、今日仏滅？色んなもの落としまくってるしそのついでに運も落としてんの？
今からどうしようかとかよりも、とりあえず疲れて一度しゃがんだら立てなくなった。
とりあえずあと5分くらい座って、帰宅ラッシュが過ぎるまでどっかファミレスにでも行って会社に行こう。
「あれ、Aちゃん…？なにしてんの？」
目をつぶって時間が過ぎるのを待とう、そう決意して瞼を閉じようとした刹那、耳に入ってきた声に思わず顔をあげる。
「も、もんちゃん…」
「どっか具合悪いの？」
「…もん、ぢゃああん！！」
「ええっ！？」
溢れ出る涙、鼻水、聞くに耐えないであろう成人女性の泣き声。アパートの玄関先で泣きじゃくることにこの時は羞恥とかそんなんなくて、目の前に急に現れた彼氏にめちゃくちゃ安心感を覚えてしまい、今日ために貯めたフラストレーションとかストレスとかが一気に溢れ出てきて止められなくなってしまった。
「あ、え、えっと！とりあえず中にね？はいろ？ね？」
「ゔぅ、、かぎわずれだあ゛、、」
「えぇ！？あ、でも前にAちゃん合鍵僕にくれたから！大丈夫！」
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作者名：あまさく | 作成日時：2023年11月8日 20時
