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『その時』がきたから俺は建物を出て外に2人ある自販機のうちの1つで悩みながらもおしるこを２つ買った。
大体5分後くらいだったと思う。
「あれ、ノブくんお疲れ様」
「お疲れ様です」
Aさんが出てきた。
彼女がそろそろ帰りそうなタイミングを見計らっていたため、目的の人物を目の前にして俺は寒さが和らいだのと同時に、なんかストーキングぽくねと思ったがこれに関しては考えないことにした。
「あの、良かったらこれ飲みませんか。当たっちゃって流石に2本もいらないかなって」
俺はそう言っておしるこを一本渡した。
コーヒーも迷ったが数時間前まで飲んでいたしおしるこなら普段あまり飲まないだろうから物珍しさに受け取ってくれるかも。
そしてあわよくば途中まで一緒に帰れないかなって。
「次誰か降りてきたら渡そうと余ってたんで、嫌いとかじゃなければ」
「え、いいの？」
「は、はい！」
「ふふっ、やったぁ…」
彼女は俺の手から缶を受け取った。
よし、まずは第一段階クリアだ。
「あの駅まで一緒に帰りません？」
「え、うん、いいよ」
よしっ！
心の中で特大のガッツポーズを決めたがまだ、まだだ。
この後は来週の予定を聞く、そして空いていたらスケジュールを俺との予定にしてもらうのだ。
2人並んで歩き出す。彼女はおしるこを一口飲んで「あまい…」とつぶやいた。
かわいい、かわいいがすぎる。
「っく……」
「ノブくん？どうかした…？」
「へ、いやなんでもないです！」
「そう？」
うわ〜、上目遣いやば〜…寒くてほっぺた少し赤くなってる…。
言っておくが見た目だけじゃない、仕事は丁寧だし伊沢さんからももちろん定評がある。
優しいし、気遣ってくれるし、話すと楽しいし…あぁ、俺どんだけ好きなんだよ…
「…なんかラッキーだったな」
「え、？」
俺が1人で悶々としてる横でAさんはそうつぶやいた。
「…あ、おしるこがですか？」
「んー、それもあるだけどさ。1個ね、言いたいことがあるの」
え、なんだろう。本当は甘いもの好きじゃなかった？コンポタの方が良かった？え、それとも実は俺の気持ちはとっくに知っていてもうこういうのやめて欲しいとか…？
さっきまで浮かれていた俺の脳内はネガティブな方向へとシフトチェンジしてしまい寒いのに汗をかいてきた。
「言いたいこと…？」
「うん、」
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作者名：あまさく | 作成日時：2023年11月8日 20時
