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そう伝えるとわかりやすく電話口で安堵の声を漏らした航平に思わずくすっと笑ってしまった。
「なんで笑うのさ…」
「いや、そんなに緊張してたのかなって思って」
「…そりゃ、こういうプレゼントはじめてだったし」
久しぶりの電話だったからお互い時間を忘れて話してしまった。
向こうであったことを伝えてくれる航平にどこか寂しさを覚えたけどそんなのは口に出さず、気づけばもうすぐ日付を跨ぐ時間だった。
「うわ、もうこんな時間か…」
「航平、ネックレス本当にありがとう。大事にするね」
おやすみ、そうお互い言い合って通話を切った。
箱の中にあるリングに光るのは私の誕生石で、何故かすごく眩しい。例えジルコニアであっても私にはとても不相応な気がして、輝きを隠すように私はタンスの奥にしまった。
ネックレス、指輪、私のことを考えて買ってくれたとしても私の心に空いた彼という穴は埋められない。女々しいやつだ、きっとあのネックレスも彼を思い出してつけることはできない。
アクセサリーなんて興味なかったじゃん。
そんなことはないと思いつつもどこか私に対する当てつけのような気がしてきて、さらに自分に対する嫌悪感が増していく。
きっと彼の周りにはあのネックレスよりも眩しい装飾を施した女の子がたくさんいる。でもきっと彼のことだからそんな装飾に囲まれても太陽のような笑顔で笑ってるんだろうなというのが想像できてしまい、それを見ることができないのが寂しくて寂しくてたまらなかった。
駅で彼を見送った時にしたキス。唇を離した時に目が合って、朝日と街灯がアンバランスに差し込む彼の目はリングについていた石よりも輝いていて、それに映る私がはっきりと見えた。
石の色など些細な違いできっとこのネックレスは今の彼にとても似合うのだろう。航平が帰省した時もなにかと理由があって直接顔を見ることができなかったのは、今思えば幸か不幸かわからなかった。
少しでも大人びた彼を見てしまったら、そんな航平私は知らない、知りたくない。
あの朝の瞳の中に映る過去の私が曇ってしまったら、もらったプレゼントも捨ててしまいたい。
お互い制服を着た学舎でふざけて笑い合っていた頃に戻りたい。
あの石の煌めきよりも、暗くなった放課後君と見る夜の空の星が燻ってしまいそうで怖くなった。
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作者名：あまさく | 作成日時：2023年11月8日 20時
