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「あっち〜…」
さすがコンクリートジャングル、地元とは違った熱気がこもっていて、蝉の輪唱も相まって少し歩いただけでさっきまでいた講義室の冷房が恋しくなり、足早に目的地に向かった。
「お、こうちゃんやん、お疲れさん」
「川上さん、お疲れ様です。ひゃー涼し〜」
サークル活動で使ってるこの部屋は冷房が効いてて気持ちいい、というより汗が冷えて若干寒い気さえしてくる。
適当な場所に座ってるとゾロゾロと人が入ってきて賑やかになった。
大学生活はそりゃあもう色んなことがたくさんあって、楽しいことも辛いこともいちいち咀嚼してらんないくらい日々精一杯って感じだった。
俺が地元を発った日の駅で言ったようにゴールデンウイークに一度帰省することはできた。でもAとはことごとくタイミングが合わなくて一度もその姿を見ることはできなかった。何度か電話はしたけど声を聞くたびにすごく会いたかった。
「A…、、」
思わず口に出てしまい近くにいた友人の何人かに聞かれてしまった。遠距離恋愛をしてきる恋人がいると前から言っていたこともあったけど写真なんて見せて万が一好きになられたりしたら困るから一回も見せたことはない。
「あ、、そうだ」
思い出した。俺なんだかんだ何にも送ってない。駅で言ったことをAは多分冗談だと思ってるだろうけどなにか恋人らしいことがしたいと思っていた。
俺は友人たちにアドバイスをもらい１つのプレゼントを決めた。
シルバーのペアリングで俺のと彼女のそれぞれに誕生石(さすがに本物は無理だった)が埋め込まれているやつで、指につけるのではなくチェーンで首からかけるやつで、これなら指のサイズが分からなくてもいいと思った。
多分次の帰省は夏休みまで無理そうだったからほんとは直接渡したかったけど彼女の住所に送ることにした。最近一人暮らしを始めたらしい。俺は知らなかったけど、まあ口を出せることでもない。
ネックレスのプレゼントの意味はもちろん知っている。いくら周りにあまり異性のいない環境であっても俺としてはすごく心配でそういう牽制もこめられるなと思い買う決断をした。
「…あ、もしもし？」
「もしもし」
2週間後、彼女から今夜電話できないかというメッセージが入った。その日は暇だったからもちろんOKをして家に帰ってから電話をかけた。
「届いたよ、すごくいいね。ありがとう」
「ほんと？よかったあ…」
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作者名：あまさく | 作成日時：2023年11月8日 20時
