祝福27 ページ28
賢治「Aさん・・・・」
俯いていた私の手のひらが誰かに握られた。
賢治君の手だ。
賢治「・・・・ここに、手を重ねてください。」
賢治君がもう一方の手を私の手に重ねる。
太宰さんも、
与謝野さんも、
敦君も、
鏡花ちゃんも、
谷崎さんも、
国木田さんも、
芥川君も、
中原さんも、
みんなが私の手のひらの上に手を重ねた。
賢治「・・・Aさん。
手の温もりが伝わってきますよね?
これがね、命の証です。
Aさんを必要としている人がこれだけいるんです。
Aさんはいらない人間なんかじゃありません。
僕達探偵社がAさんを入れたのは別に菜月家だからじゃありません。
Aさんが菜月家じゃなくても、僕はAさんと仲良くしたいです!」
『なんで・・・・?
なんでよ・・・・私は・・・裏切って・・・』
敦「いいえ、むしろ菜月さんのことをちゃんと助けられなかった。
僕達探偵社の責任です。」
中原「てか菜月家は俺も知ってる。
でもお前はそいつらじゃない。そいつらみてぇに完璧になる必要ねぇだろ。お前はお前だよ。」
鏡花「・・・今度はシュークリームを一緒に食べに行きたい。」
与謝野「要らない人間なんかいないよ。あんたがいらないなんて言うやつがいたら妾がぶっ飛ばしてやるよ。」
国木田「俺の予定に、探偵社が社員を助けられないという項目は存在しない。」
谷崎「僕、Aさんともっと話してみたいです!」
芥川「・・・・お前は、馬鹿者だ。こんなに周りにもとめられているのに・・・!」
『・・・・・!!
うっ・・・・・・なんっで・・・よお・・・』
嫌ってくれれば楽だった。
はねつけてくれれば楽だった。
私はよろよろと立ち上がる。
なんでだろう。
心がとても軽い。
今の私はきっと酷い顔だ。
泣き崩れたあとだからか頭がクラクラする。
でも、きっと、
太宰「素敵な笑顔だね、」
最高に笑っている。
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作者名:甘宮様 | 作成日時:2024年2月4日 19時