第21話 おにく ページ22
「そうか......そうだな。無駄な時間だった。最初から拷問すれば良かったな!」
ガンッと頭に衝撃が走った。
どうやら殴られたらしい。
殴るって、コイツ拷問の意味知ってるんだろうか。
まあ、痛いことには変わらないけど。
「痛い目に合いたくなかったら話せ」
もう合ってんだよ、という言葉は必死に飲み込む。
変に脳筋を怒らせてはいけないし。
『敦君は、』
「おお、話す気になったか。早くしろ」
急かさないでよ、面倒くさいな。
『敦君は、社員になったばかりだけど、可愛くて、優しくて、凄く精神が弱くて、でも本当は凄く強い。将来有望で大事な後輩』
「......そういうことを話せとは言ってない」
また殴られる。
いちいち乱暴だなぁ。
『太宰さんは、何もしてくれない。本当に探偵社員なのか疑うくらい。その上ずっと絡んできて面倒くさい』
ちょっと、と顔を顰める太宰さんが頭に浮かぶ。
『でも、変態で頭はおかしいけど、実はとても頼りになる人。あの人は探偵社に来て正解だった』
ガコンッ
更に強く殴られる。
いったいなぁ、
『中也さんは、敵対組織で、多分かなりアホ。この人も絡んできて面倒くさい。でも、』
「もういいッ!」
鋭い声が響いた。
どうやら随分お怒りのようだ。
でも、こんな奴怖くない。
睨んでくる相手にニヤリと笑い返してやる。
「お前、馬鹿にして、」
『でも、中也さんは、私を助けようとしてくれる』
遅刻して、お姫様抱っこされたときも、助けようとしてくれたのだろうか。
だとしたら、ちょっと怒りはおさまるかも。
いや、許さないけど。
『だから.........お願いします、中也さんッ!』
「おう、分かった」
「な゛?!」
黒服が後ろに吹っ飛んだ。
中也さんに回し蹴りされたのか。痛そう......
ま、同情はしないけど!
「貴様......仲間が足止めしてるはず!」
『足止めェ?あんな雑魚で?』
当然のように聞き返す中也さん。
あ、黒服、びっくりしすぎて顎外れそうだよ。
それにしても、マフィア幹部を舐めすぎだな、この誘拐犯達は。
「じゃ、手前ェは気絶しとけ」
「ガハッ、」
『おぉ〜!!』
「おぉ、じゃねぇよ!心配させるな!」
『ごめんなさい』
「ぐ、まぁ許す」
『やったー!!』
上目遣いは効果抜群なようだ。
「ちょっと!!私達もいるんだからね!」
突然聞こえてきた声に振り返ると、太宰さんと敦君がいた。
うん。
やっぱ、私たちは最強だ。
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おにく(プロフ) - 青鯖と蛞蝓さん» ありがとうございます!カッコいいですよね、太宰さん! (3月21日 10時) (レス) id: 87b40d126e (このIDを非表示/違反報告)
青鯖と蛞蝓 - めちゃくちゃ面白いです!太宰さん最高……… (3月20日 11時) (レス) @page27 id: 09bc7e3967 (このIDを非表示/違反報告)
おにく(プロフ) - 名無し60099号さん» ありがとうございます!そう言ってもらえるとやる気出ますね〜。今後もよろしくお願いします! (3月13日 15時) (レス) id: 87b40d126e (このIDを非表示/違反報告)
名無し60099号(プロフ) - いつもひっそりと見させていただいてます!最初から面白さ全開でいつも更新を心待ちにしています!!今回も最高に面白かったですwww (3月13日 8時) (レス) @page25 id: 64f76c54cb (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺の壁(プロフ) - 甘色様さん» えぇ!?そうなんですか!?ありがとうございます……!お互い頑張りましょ! (2月26日 21時) (レス) id: 09395bcd27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:甘宮様 x他1人 | 作成日時:2024年2月25日 19時