げんかん ページ7
家に着くと、日もとっくに頭の上を通っていったようで、西に傾いていた。それなりに時間も経っていたからか、家の前にいた警察はすっかりいなくなっていた。
玄関前に立ち、刑事さんに向き直る。
「ありがとうございました、刑事さん」
「うん、じゃあ後は何かあったら警察署の方に連絡してくれれば対応するよ」
刑事さんはポケットから出したメモ用紙に、ポールペンをカチリとノックして走り書きをする。それを私にはいと差し出した。
受け取ると、それは警察署の電話番号のようだった。下に刑事さんの苗字と思われる、「塚内」との名も添えられている。
「これはツカウチさん、でいいんですか?」
「そうそう、塚内」
「じゃあ塚内さん。また会えたときはよろしくお願いしますね。今一番私のことをわかってくれてるので、相談とかしたいです」
輪廻転生とかね、と笑顔を浮かべると、刑事さん、もとい塚内さんは仕方ないなあといったように笑った。
「君は前世でもさぞ策士だったことだろうな」
塚内さんはそれだけ言うと、被っていた帽子を被りなおして、私の手元にあるメモ用紙をぴっと取り、また何かを書き始めた。
返されたそのメモは、何も書き足されていないように見えたが、裏を見ると塚内さんのプライベート番号であろう番号が書かれていた。
「ホイと教えちゃっていいんですか」
「私用の相談事で警察署の番号にかけるわけにもいかんだろ。今後会えるとも限らないしな」
「……それもそうですね」
この世界に来て初めて誰かに教えてもらった携帯の番号が、まさか警察の人というのも複雑な気分だ。
「それじゃあね。一週間後の午前中にまた来るから、それまでにベストの人を探しておいてくれよ」
「は、一週間後……? ちょっと、それは今初めて聞きました」
「今初めて言ったからな。今世が君にとって良いものになるのを祈っておくよ」
はっはっは、と笑いながら、塚内さんは車に乗って帰っていってしまった。
車が去っていった方をしばらく見つめたあと、ため息を吐く。
メモ用紙をしっかりと手に握り、家の扉を開けた。
101人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カナ - トガちゃんの成り代わりは私得ですね。笑更新頑張ってください。 (2019年1月29日 23時) (レス) id: 270e06f60b (このIDを非表示/違反報告)
ふらわぁ@無理ゲーはパス。 - ツインテトガちゃん可愛い (2019年1月14日 14時) (レス) id: e44d61dba0 (このIDを非表示/違反報告)
ののいろ系女子 - 成り代わり!しかもトガちゃん!もう大好きが勢揃いで嬉しいです!更新大変だと思いますが頑張って下さい! (2018年12月29日 1時) (レス) id: 8fb3eabd58 (このIDを非表示/違反報告)
ハムぴょん - ああ面白いぃぃ!!!とがちゃん好きだから嬉しい!更新頑張ってください!!!!! (2018年12月17日 21時) (レス) id: e2495abf65 (このIDを非表示/違反報告)
愛と正義 - めちゃ面白いです!! (2018年11月26日 22時) (レス) id: 270e06f60b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ