いい奴。【urt】 ページ5
「猫…可愛い、です、よね」
息詰まりながらそう言ったのには理由がある。
目の前に仁王立ちをするクラスメイトが怖いからだ‼
彼の名は、浦田渉。席は私の前で、男子と喋るところはよく見るのだが、女子との会話は少なく、更に私は嫌われているのだ。
彼の小さな体から出るムスッとしたオーラがそれを物語る。
事の発端は、3分前。
校内鬼ごっこをしよう、と先輩に誘われて部全員で逃げ回っていた放課後。
走るのが苦手な私はどこかに隠れようと考えた。
そこで向かった先＿＿体育館裏＿＿にいたのが、浦田氏。
バッと背を向けたからなんだろうなーと思い覗き込むとなんと！いつも冷たい彼からは想像できないほど満足気な表情で猫を撫でていた事が判明したのだ！
「お前、体育館裏なんてすぐ見つかるぞ」
「わ、分かってるんだけど、いい隠れ場所がなくて…浦田君助けて〜」
「自分で探せ。ってか走って逃げろ」
「足遅いし、鬼は今校舎前にいたんだもん。捕まったら罰ゲーム」
1番多く捕まえた鬼の言う事を、1番最初に捕まった人が聞くという鬼畜ゲームです。
あ、浦田君が声を上げたかと思えばさっきまで彼の腕の中にいた猫はタッターとどこかへ行ってしまった。
…気まずい。
彼もそう思ったのか、立ち上がりどこかへ行こうとしまた。
鬼畜罰ゲームが待っていると話したのに、無視ですか。置いていくんですか、浦田君。
「おい、早くしろ」
そんな事を思っていたから、彼がそう言った時、私はうまく反応出来なかった。
「校内まで逃げれば、あと楽だろ。庇ってやるから、さっさといくぞ」
「あっ、Aさん見っけー！」
協力してくれるんだ、と思ったら鬼さんが来ました。
「ヤバイヤバイ！」
このな事になるなら早く逃げるべきだったー！
あたふたとする私の手を浦田君は取った。
「行くぞ」
とだけ言われ浦田君に手を引かれるまま全速力。
「まだ、捕まる気は無いからなー！」
私の気持ちを代弁してくれた浦田君の声は体育館裏に響いた。
「ここまで来たんだから、後は適当に捕まっとけ」
「心細い……」
そう呟いた私に彼は己の制服を頭上に置いた。今度は何⁉
「でかいかもしれないけど、男子指定の制服だからフェイクにはなるだろ」
と言い捨てた浦田君はさっさと昇降口へ向かった。
部員のいない音楽室の前に残された私は呟く。
「浦田君って結構いい奴？」
《なんでAさんのこと庇ったの》
渡す気は無いから。
言えない気持ちは真冬に対するライバル心のみ。
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絵鞠(プロフ) - 千海さん» リクエストありがとうございます。僕も沢山書けるし、ご希望に寄り添えるし、一石二鳥！ありがとうございます！ (2022年3月27日 19時) (
レス) id: b2d7297930 (このIDを非表示/違反報告)
千海(プロフ) - コメント失礼します。いろんな歌い手さんのお話が詰め込まれてて、すごく好きです!リクエスト等受け付けたりされていますか？されていたら、反応集みたいなので「抱きついてみた」お願いします!されていなかったらすみません。長文失礼致しました。 (2022年3月26日 18時) (レス) @page17 id: b4c51071c3 (このIDを非表示/違反報告)
絵鞠(プロフ) - ぴったり1’000hitになった瞬間を見れました。面白いですね嬉しいです。 (2022年3月20日 20時) (レス) id: b2d7297930 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：絵鞠 | 作成日時：2021年8月18日 15時
