甘く、淡く

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佐和｢私と終わったばっかりで酷くない？｣




松村｢……佐和さんだって、俺と兄貴と並行してた癖に。｣




佐和｢……北斗くんはずっと私が好きなのかと思ったのに｣





何食わぬ顔で彼女が元いた席に座る佐和さん。




……俺の、兄貴の奥さん。




佐和｢……だって、彼……結婚してくれるか怪しかったでしょ？北斗くんは私の事好きなの丸わかりだったし。｣





俺の家庭教師だった佐和さんは、同い年、ということもあって兄貴と仲良くなった。




それが、一昨年。中三。




金だけ出せばいいと思ってる父親と、兄貴に依存していた母親と。





真っ当な兄。




佐和さんは俺を見てくれた。





それなのに。





割とすぐに兄さんと付き合いだして。





けど、俺に関係をもちかけたのは彼女だ。





佐和｢……じゃあ、次の試験、いい点数だったら、私の事好きにしていいよ。｣





佐和さんが言うには、兄が手を出してこない、と。




そんな堅実な兄がデキ婚だなんて変だとは思った。





……メンヘラとか、そういう類の女だったんだろう。





それでも俺は自分を見てくれた彼女が好きだ。




松村｢……兄貴にバレたら？｣




佐和｢その時は、北斗くんがもらって｣




……馬鹿だなって、思う。

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