〃 ページ27
◆
｢私の好きなお菓子！パンの代わりになるか分かんないけど…美味しいから食べてみて！｣
食欲がない、と言ったのをフル無視したような多さのお菓子に俺は困惑する。まあ実際フル無視なんだろうが。
どうやってこの量のお菓子を出したんだろうと考える意味は無い。そういう家系能力なんだろう。
善意で差し出されたものを断るのは野暮だ。
『…ありがとう、クララくん』
山積みのお菓子を受け取る。うわあこれどうしよう。職員室の先生に配ろうかな。
お菓子への処置を考えながら1人睨めっこをしていると、クララくんは少し間を置いて不思議そうに尋ねてきた。
｢…ワープせんせい『は』私がどうやってお菓子出したのか聞かないの？｣
その聞き方に、何となく違和感を覚えた。
『あれ、聞いて欲しかった？ごめんな、先生どっちかというとアホな部類だから…』
｢ううん！みんな『コレ』見たら私に出して欲しいもの言ってくるから、言わないせんせいがふしぎ！！｣
おや？
『…それでクララくんはみんなの欲しいもの、出してるのか？』
｢うん！みんな欲しいものあげると喜んでくれるからっ、あげたら私と一緒に遊んでくれる人もいるし…｣
…これは問題では？
生徒から生徒への不当な搾取。もうこの学年ではそんなものが始まっているのか…いや、今回は早めに見つけられただけ良かったのかもしれない。
『…クララくん、お昼ご飯食べた？』
｢んーん！まだ！学食堂の位置分かんなかったから遊んでたの！｣
『そうか…』
俺は山積みのお菓子を横に置いて、ベンチに座る。
きょとんとしているクララくんにおいで、と手を差し伸べた。
『先生、さっきも言ったけど食欲あんまりないんだ、お昼食べてないなら俺と一緒に食べない？クララくんのお話聞かせてよ』
そう言うと、彼女は至極嬉しそうに頷いた。
◆
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 81人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ごぼろん(プロフ) - めちゃめちゃ面白かったです！！主人公の性格好きすぎるっ(笑) (4月20日 19時) (
レス) id: 8df60f87e3 (このIDを非表示/違反報告)
進撃のBAKA - ふぁあああ超よかったです、、、。 (3月4日 22時) (レス) @page29 id: c9bdcb4418 (このIDを非表示/違反報告)
白亜紀(プロフ) - 抹茶ねこ。さん» 抹茶ねこ。さんこんにちは！薬学いいですね！！貴重なご意見ありがとうございます〜！ (9月29日 19時) (レス) id: 307c896a12 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ねこ。 - こんにちは！非ログですが楽しく読んでます⸜(*ˊᗜˋ*)⸝ 担当教科、薬学とかどーでしょ!?(*´ ꒳ `*) (9月29日 17時) (レス) @page13 id: ab71a77d12 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白亜紀 | 作成日時：2023年9月27日 16時
