_ 性格 〜 ページ2
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【性格】一見するとふらふらと不安定な足取りだが、しかし転ぶことも何かにぶつかることもない。典型的なマイペース人間……いや、死神である。
また、彼は他者に腹の中を悟らせない、とても謎めいた人物…………などと、呼ばれることもある。しかしまあ、事実は決してそうではない。
彼は、ただ単に外を覆うものが異質だから避けられているというだけであり、入り込むだけなら割と容易である。率直にいえばチョロい。
例えば、道端にギリースーツを着て突っ立っている人間がいたとして、果たしてそれに話しかける人間はどの程度だろうか。恐らくは、目の前を通り過ぎる人間のおよそ一割にも満たない。
しかし、その一割にも満たない人間が彼に友好的に話しかけたのだとしたら、彼はまるで鏡写しのように友好的に笑い返すだろう。逆であれば、彼もそう返す。
つまりは全て向こう方の出方次第、彼が自分から壁を張っているのでなく、向こうが勝手に周りのものを壁だと勘違いしているだけなのだ。
こちらを警戒して腹を探りに来る無礼な相手に、あけすけに全てを曝け出そうと思う程、彼も馬鹿でないと。ただそれだけである。
そんな理解の及ばない死神である彼を囲う壁として、もう一つあげられるものがある。
それは、異様なまでのロマン主義……というか、空想的な口調である。
魂を狩る相手全てを"美しき君”などと呼称し、口を開けば溢れ出るのは小説のような言い回しと、とても受け止めきれぬ程の恋情。それは彼という人物をその場に置くだけで、周りを御伽噺の世界に引き込んでしまうような、周りそのものを御伽噺にしてしまうような気さえする。
何を思ったかと顔を覗き込んでも、視界に映るのは黒猫の仮面。聴覚を奪うのは愛を囁く声。つまりは彼のムードに抗う術は、一般の人間にはないということだ。
まあ、その相手が死神ならばいくらでも交わしようはあるだろうが……そもそも愛の対象が死神になることが滅多にないので、そんな事例が発生する可能性は低い。
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