マフィアに檸檬を送ろう【中原中也】

檸檬１１ ページ11

「はぁ、」



首領執務室から出て




下階の私の執務室までの長い廊下を歩いている際、


無意識に溜息が出た。



「溜息ばっかついてると幸せが飛んでいくぜ。


　 ．．．
梶井副幹部」



「ｷﾞﾛｯ、副幹部ではなくて
　 ．．
中原幹部直属補佐ですよ。




立原君」




私に話しかけてきたのは


黒蜥蜴の十人長
立原道造。




組織入った順なら私の後輩にあたる人物。




そして、
二丁の拳銃使いで
早撃ちが得意だ。




私も時々教えて貰ってる。




「(直属ってとこだけ無意識に強く云ってるってのは云わない方がいいな…)


悪りぃ、そうだったな」




「で、用件は何ですか？

私はこれから昼食をとる予定なので」


実は中原幹部を誘って


近くの新しく出来た
喫茶店で



「お食事
でも如何ですか？」




って誘う予定だった。



しかし！






その予定は崩れてしまった



半分以上は私のせいだけど…

これで何度目だろう。
中原幹部を食事に誘えず、一人で食事するのは…





三ヶ月間ずっとだ…



「ｽﾞｰﾝ」


「？


飯がまだなら一緒に食うか？

久しぶりにな。」




そういえば最近一緒に食べてないな…

前は一緒に食べる事が多かった。

折角だからね。


「…行きます」









嗚呼、


話し相手がいるといないとでこんなにも虚しさが消えるなんてｯ!





「最高…」

私は白米を噛みしめながら

ぽつりと呟いた。




「(まじで此奴如何した？)」





口には出さないのが


優しさである。

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