五奇人ともう1つの物語 (ページ26)

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取引(前編) ページ26

楓奏目線

生徒会室に着いた僕は、いつもの人見知りからは想像できないほど、躊躇いなくドアを開けた。
中には僕を呼び出した生徒会長さんしかいなかった。

英智「やぁ、楓奏くん。いらっしゃい。」

生徒会長さんに向かって会釈をすると、
「そんな畏まらなくてもいいんだよ。」
と笑われた。

英智「よく来てくれたね。お茶でも入れようか？」

楓奏「いえ。生徒会長さんにそんなことさせる訳にはいきませんから。」

英智「そんな他人行儀じゃなくていいんだよ。...まぁ、そこの椅子に座りなさい。」

楓奏「失礼します。...それで、要件は何ですか？」

僕が急かして聞くと、生徒会長さんは笑いながら言った。

英智「正直に言うよ。僕は君の才能に惚れている。仲間のミスもフォローできる立ち回りのうまさに綺麗なソプラノボイス、そしてその天使のように可愛らしい顔立ち。これを天性の才能と言わずになんというのだろう。そんな君に提案だ。fineに入らないかい？fineなら君ももっと輝ける。いや、僕が輝かせてみせるから。」

楓奏「嬉しいお誘いありがとうございます。しかし、僕はSophiaのメンバーです。僕はSophiaを辞める気はありません。」

英智「そうかい。残念だよ。穏便に済ませることが出来る手を提示したのにね。...じゃあ、こうしよう。僕達、fineがSophiaにドリフェスを申し込もう。それで僕達が勝ったらfineに移籍する。これでどうかな？」

楓奏「...わかりました。しかし、条件があります。まず1つ目、僕達が勝利したら、今考えてることを全部忘れたことにしてください。」

英智「それは...どういうことかな？」

楓奏「あなた達がいずれ、六奇人の討伐を行おうとしてるのでは無いかと。...何となく六奇人というのができた時にそうではないかと思ってました。僕は六奇人の一員になって、頼れるお兄ちゃんが沢山できました。その六奇人のお兄ちゃん達に悪いことが起こるのは全力で阻止したい。それが僕にできる、唯一の恩返しだから。」

英智「うん。分かった。承諾しよう。...1つ目っていうことは他にもあるんだろう？無理なことでなければ聞こう。」

楓奏「もう1つは...今回だけ、スバルくんをSophiaのメンバーから外して欲しいんです。」

英智「ん？どうしてだい？」

楓奏「えへへ。内緒です。ダメですか？」

英智「ん゛ん゛。...ダメな気がするけど、まぁ、いいや。承諾しよう。」

楓奏「ありがとうございます。」

...to be continued