7、鏡じゃっち ページ7
××
汝の魂のかたちは───わからぬ。
この者からは魔力の波長が一切感じられない。
よって ───どの寮にも相応しくない！
(……か、鏡も喋るのかよ……)
低く、威厳のある声が鏡の前に立っていた人間の男子に向けられ、それと同時に私に向けられていた好奇の視線がすべて人間の男子の方へいった。可哀想に。ありがとう……
「そんな……！生徒選定の手違いなどこの百年ただの一度もなかったはず……魔法が使えない人間と女性を黒き馬車が迎えに行くなんて……有り得ない！」
「───だったらその席、オレ様に譲るんだぞ！」
今まで大人しくしていた謎生物が突然また暴れ出す。「あっ、待ちなさい！この狸！」と不審者が声を荒くした。
(へー、アレ狸だったんだ……)
「そこのニンゲン共と違ってオレ様は雄だし魔法が使えるんだゾ！だから代わりにオレ様を学校に入れろ！」
謎生物こと狸は「魔法ならとびっきりのを見せてやるんだゾ！」とニヤリと口の端を吊り上げた。
「みんな伏せてっ！」
「ん〜〜〜なっ〜〜！」
そう言って謎生物は火を出した───火を出した！？……火を出した？火を、出した？
「うわああ！あちちっ！尻に！尻に火が！」
「こ、このままでは学園が火の海です！
誰かあの狸を捕まえてください！」
(お前がやれよ！！)
大混乱、大発狂、聞き慣れない色々な人間の声が耳に入ってきて頭の中までパニック状態に陥る。そもそも、こんな大量の人間しかいない場所私は大嫌いだ……くらくらと目眩すらしてきた。
「なあ誰かオレのケツの火ぃ消してくれてもよくね！？」
狸が放った火が尻についてしまった男子生徒の嘆きが聞こえる。可哀想に。しかし私もそれどころじゃ───
「なあそこのお前！暇だったらオレのケツの火消してくれね！？」
「……」
後ろに誰かいるのだろうか？
背後を振り向けば誰もいなくて私が自分の顔を指差せば「そうだ！お前だお前！」と言われた。つまり……私にケツの火を消せと……？
(こちとらまだ嫁入り前のうら若き女子なんですけどーー！？)
「頼む！早くしてくれ！」
「は、はい！？」
なんだ、なんなんだこれ……
とりあえず羽織っていたカーディガンを脱ぎ捨てて燃えている青年のケツに覆い被せ、酸素を遮断させる。幸い、青年のケツについていた火も大きなものではなかったのですぐに消えた。
「消えたか！？ふぅ……助かったぜ……！」
私のカーディガンは助からなかったけどな！！
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柊あんず(プロフ) - 洸さん» コメント返信遅くなってしまい申し訳ありません…画力やばいですよね…表紙絵見るたびに惚れ惚れします…更新頑張りますね…！！ (2022年5月5日 17時) (
レス) id: 69139934db (このIDを非表示/違反報告)
洸 - 待て待て待て待て画力チートか？画力高杉な？めちゃくちゃ綺麗じゃないっすか。話も素敵です！更新待機。 (2022年4月24日 16時) (レス) id: 2f1dccb094 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 櫻陽花さん» コメントありがとうございます！ただいま訂正させていただきました〜！ありがとうございます (2021年3月29日 15時) (レス) id: 69139934db (このIDを非表示/違反報告)
櫻陽花(プロフ) - 序盤の鉱山内での台詞ですが…5年ではなく10年だったと思います…… (2021年3月28日 21時) (レス) id: 07bd924354 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 鮎さん» コメントありがとうございます〜！襲いくる数々の理不尽…！耐えるんだ！多分、三章くらいではメンタルムッキムッキな女の子になっていると思いますね(遠目) はい、更新頑張ります…！！ (2020年6月28日 1時) (レス) id: 30d83766f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんず
| 作成日時：2020年5月30日 23時
