44、満腹でぃなー ページ44
××
「ふおおっ……ツナ缶がこんなにたくさん……！」
談話室に戻るなり、謎生物が風の速さで飛んできた。そして袋に全身を突っ込んでツナ缶を盗み出す。あまりの遠慮のなさにドン引きしていると「こら」と監督生くんが謎生物からツナ缶を取り上げた。
「何するんだゾ！」
「だめだよ。夕食当番はA姉さんなんだから」
「オレ様はツナ缶そのまま食べるんだゾ！
Aの料理なんていらないんだゾ」
こ、こいつ……
まるで反抗期の中学生男児のようなことをほざく謎生物に少し、ほんのちょ〜〜〜っと殺意を抱きながら監督生くんからツナ缶を受け取る。
「ね、姉さん……？」
「……」
無言でキッチンに向かう私から殺気を察知したのか、監督生くんは恐る恐る……といった様子で声をかけてきた。そして何やら文句を言っているらしい謎生物の口を全力で塞いでいた。
*
「どうぞ」
出来上がった料理をテーブルに置くとツナ缶を失ったことで死んだ魚の目と化していた謎生物の瞳に再び光が戻った。
「ふおおお……こ、これは……！」
「ツナパスタだね？美味しそう！」
作り方は非常に簡単で単純だ。
茹で上がったパスタとツナを混ぜて軽く味付けをすればすぐに完成。しかしそれでも謎生物の目には三つ星レストランのコースメニューにでも見えるのかもぐもぐとがっついている。
「んっ〜〜美味いんだゾ！」
この戦い、私の勝ち！
胸の中でドヤ顔をしながら私も自分で作ったパスタを食べる。うん、美味しい。流石私。家で誰もご飯を用意してくれなかったので自炊をするようになったらいつの間にか料理の腕が上がっていたのだ。掃除や料理が得意な美少女なんて完璧すぎる。モテ要素しかない。もうこれは世界中の男に求婚されてもおかしくないレベル。
「A、もっと持って来るんだゾ」
「ない」
「！？」
「さ、三人分しか作ってない……」
謎生物はこの世の終わりのような顔をした。
きっと世界の終わりに人はこういう顔をするのだろう……そんな表情だった。
「……ううっ……オレ様はもっともっと食いてぇんだゾ〜！寄越せ〜！寄越せ〜！」
「ちょっとグリム！？それ僕の！」
そんなに私の手料理にハマったのか……
監督生くんの皿を狙う謎生物と逃げ惑う監督生くんの攻防は暫く終わりそうにない。今度からはもっと大量に作らなきゃなと思いながら自分のパスタを謎生物の皿に移す。
「あげる」
「ふなっ！？良いのか！？」
「うん。良いよ。私、優しいから」
**
エース・トラッポラはからかいたい【番外編】→←43、優しい君にさんきゅー
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1211人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柊あんず(プロフ) - 洸さん» コメント返信遅くなってしまい申し訳ありません…画力やばいですよね…表紙絵見るたびに惚れ惚れします…更新頑張りますね…！！ (2022年5月5日 17時) (
レス) id: 69139934db (このIDを非表示/違反報告)
洸 - 待て待て待て待て画力チートか？画力高杉な？めちゃくちゃ綺麗じゃないっすか。話も素敵です！更新待機。 (2022年4月24日 16時) (レス) id: 2f1dccb094 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 櫻陽花さん» コメントありがとうございます！ただいま訂正させていただきました〜！ありがとうございます (2021年3月29日 15時) (レス) id: 69139934db (このIDを非表示/違反報告)
櫻陽花(プロフ) - 序盤の鉱山内での台詞ですが…5年ではなく10年だったと思います…… (2021年3月28日 21時) (レス) id: 07bd924354 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 鮎さん» コメントありがとうございます〜！襲いくる数々の理不尽…！耐えるんだ！多分、三章くらいではメンタルムッキムッキな女の子になっていると思いますね(遠目) はい、更新頑張ります…！！ (2020年6月28日 1時) (レス) id: 30d83766f8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あんず
| 作成日時：2020年5月30日 23時
