22、勇敢えんじぇる ページ22
××
「こ、この真っ暗な中に入るのか！？」
炭鉱の入口まで辿り着いたは良いものの、なかなか一歩踏み出すことが出来なかった。現在の時刻も相まって、非常に暗いその中に入るのは神経が図太そうな謎生物も流石に躊躇っている。
「ビビってんのかよだっせー」
「なぬっ！？ビ、ビビってなんかねーんだゾ！オレ様が隊長だ！オマエらついてくるんだゾ！」
やなヤツの煽りにまんまと乗せられた謎生物はずんずん中へ入って行った。ムキになってるところはちょっと可愛い……いや、騙されるな私！
人間の男子と共に内部に足を踏み入れたとき、先を歩いていたシャンデリア男が「待て！」と声を荒げた。
「んだよ！？」
「何か……いる」
ああこの台詞は……ホラー映画でよく聞くやつだ。
見事な死亡フラグを立てたシャンデリア男を嘲笑うように「ヒーヒッヒッヒ！」と不気味な声が聞こえてきた。
「十年ぶりのお客様だあ！」
「ゆっくりしていきなよ、永遠にね！」
(ふぎいい出たあああ！！……ってあれ……？)
そこで私は気がつく。
このゴースト、昨日私を気絶させたあの館に住みついていたやつらと同種だ。二回目だからかそこまでの衝撃はなかった。よくよく見ればなんか太ってるし人間を脅かそうとするお化け屋敷のパチモン幽霊みたいなところも健気に見えてきた。
(ふっ……お可愛いこと……)
「何してるのAちゃん……！ほら行くよ！」
某かぐや様に成りきっていたら人間の男子に腕を引っ張られた。少し痛いが、私は彼の行動に心底感動した。
(わ、私を置いていかないで声をかけてくれるなんて……！)
遠足も修学旅行も同じ班のクラスメイトから撒かれ、いつもひとりで現地を見回っていた身からすれば声をかけてくれて、尚且つ私を引っ張ってくれる人間の男子が天使のように思えた。人間の男子の頭に天使の輪が浮かんで見える。
「ったく……ここもゴーストがうろうろしてんのかよ……」
「いちいち構ってたらキリが無い。先を急ぐぞ」
「偉そうに命令しないでほしーんだけど？」
(うわぁ……なんか不穏な感じに……)
火花を散らす男子高生ふたり。
それに謎生物も混ざって、今にも取っ組み合いの漢同士の喧嘩が始まりそうな雰囲気になっていた。まあそのまま殴り合いの喧嘩になってもそれはそれで見応えはありそうだ。どっちが勝つんだろう。
「……さぬ……うぅ……ぬ……」
「……この声、は……？」
地を這うような低い声に、その場は凍りついた。
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柊あんず(プロフ) - 洸さん» コメント返信遅くなってしまい申し訳ありません…画力やばいですよね…表紙絵見るたびに惚れ惚れします…更新頑張りますね…！！ (2022年5月5日 17時) (
レス) id: 69139934db (このIDを非表示/違反報告)
洸 - 待て待て待て待て画力チートか？画力高杉な？めちゃくちゃ綺麗じゃないっすか。話も素敵です！更新待機。 (2022年4月24日 16時) (レス) id: 2f1dccb094 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 櫻陽花さん» コメントありがとうございます！ただいま訂正させていただきました〜！ありがとうございます (2021年3月29日 15時) (レス) id: 69139934db (このIDを非表示/違反報告)
櫻陽花(プロフ) - 序盤の鉱山内での台詞ですが…5年ではなく10年だったと思います…… (2021年3月28日 21時) (レス) id: 07bd924354 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 鮎さん» コメントありがとうございます〜！襲いくる数々の理不尽…！耐えるんだ！多分、三章くらいではメンタルムッキムッキな女の子になっていると思いますね(遠目) はい、更新頑張ります…！！ (2020年6月28日 1時) (レス) id: 30d83766f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんず
| 作成日時：2020年5月30日 23時
