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「うわー気味悪いなぁ」



中へ入ると漏れたのはその第一声。

そりゃあ言いたくもなるだろう。



「手術室、か」



薄暗い空間のその真ん中に、

赤黒く染まった手術台。

ピッピッと鳴る機械音。

手術台の上に置かれた動いている得体の知れない物体。

それに繋がれた輸血。

すべてが異様、だった。



「……」



辺りを見渡しても他に何も無い。

しばらくバールを握りしめて立っていると、

目の前にあの少女が現れた。



「やぁ、さっきぶりかな」

亡「おねぇちゃん、いつまで余裕なの?」



瞬間に見せた殺気。

この少女のどこにこんなものがあるのだろうと

私は少しだけ恐怖心を抱く。



「余裕?そりゃあね、貴方がこんな事してるから」

亡「おねぇちゃんだって本当は怖いんでしょ?」

「怖いさ、だってこんなに殺気を出されてるんだもん」



私は負けじと余裕の笑みを返す。

少女は酷く顔を歪ませて私を睨んだ。



亡「おねぇちゃんだってバケモノでしょ?

私と同じだもん。そのうち独りぼっちになる」

「それは生前の話、今は違う」

亡「違わない。どうせあの人達も皆拒絶する。

おねぇちゃんがバケモノである限りね」


私の心を乱そうとしているようで

くすくすと笑いながらそう言った。

けれどもう、私には通用しない。



「いいや、あの人達はそんな事しないよ」

亡「するよ。絶対」

「じゃあ言うけど、貴方見たんでしょう?」



そう言えば少女は首をかしげる。



「田噛の身体に居た時、皆のことを」

亡「…!」

「皆いつもあんな感じだから、

拒絶するなんて器用なこと、

それこそ絶対出来ない」

亡「そんな筈、無い!!!!」



いきなり叫び、私は咄嗟に身構えた。

同時に先ほどの物体が破裂する。



「…っ」



その赤黒い液体に触れないように身体を動かした。

そして気がつく。

床から数え切れない手が伸びているのを。



「……ほんっと、気持ち悪いなぁ」



嫌味ったらしく吐き出すと少女を見やる。

もうすでに、変異していた。



亡「コロして、ヤル」



その言葉と共に床の手が私へと襲いかかった。

それをバールで蹴散らして間合いを取る。



「いい加減行ってくれない?閻魔の御前にさ」

亡「ダまレ!!!」

「うわー」



と、棒読みでその攻撃を避ける。

少女の意識は無い。

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ゆっきい - 田噛がイケメソすぎて涙出てきたお、、、、、 (2016年9月17日 9時) (レス) id: 0db5e774af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:燐音 | 作成日時:2015年7月4日 16時

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