比翼の鳥 (ページ8)

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長月の青玉　°住処_gt.vo ページ8

片岡side

「ねぇ、本当に開けるの？」

彼女に誕生日プレゼントは何が欲しいか、と問うと欲しいものはありません、して欲しいことはあります。と言われた代わりに手のひらにはピアッサー。それを捉えた瞬間、目的が全て見えてきたため、何度も何度も確認をするが

『健太さんとお揃いが良いんです！いつまでも何もないのは寂しいっていうか‥』

さらっと爆弾を落としてくる、この一点張りだ。もう、これは折れるしかないか‥と思い冷蔵庫から氷を取り出し、袋に詰める。僕の行動で全てを察したAはソファに腰掛けながら目を輝かせている。耳朶に氷を当てると、ひくりと肩が揺らぎ、なんだか落ち着かない様子で視線を動かしている。

「あとちょっとしたら、開けるね。どう、いけそうかな？」

『なんか、今になって怖くなってきました‥』

「大丈夫、一瞬だよ？」

冷やしている部分を触って顔色を伺ってみるが、特に反応はない様子。
十分に冷やせたためピアッサーを手に取り

「よし、いくよ」

掛けた言葉は開ける合図、ではなく口を塞ぐ合図で。
甘くて、優しく長い口付けをして、深くなった時に指先を動かし、かしゃりと音が鳴り響く。

『っ、え？』

「ほら、出来たよ。俺、ずっとしたかったんだよね。キスしながらピアス開けるやつ」

『でも、全然痛くなかった‥』

「そりゃあ、そのために深い時に開けたからね〜」

左耳に施されたサファイアのピアスとは真反対の色がAの耳を染め上げた。
そして、興味本位で何故サファイアにしたのか、と問うと健太さんの誕生月の石だったから、と伝えられて彼女は本当に罪深いなあ、と思いもう一度口付けをした。