比翼の鳥 (ページ5)

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貴方side

視界が明るくなった、と思えば目の前には綺麗に整った達弥の顔が瞳に映り、少々戸惑ったが優しく微笑みもう一度強く、離れないようにとばかりに強く抱きしめられた。

『く、苦しい‥』

「これくらいは我慢してよ。それに、他の男に触られてたの上書きしてる最中なの！」

本当に三十路を超えた男性なのか、と疑うくらい可愛い彼の頭を撫でれば首に顔を埋めて、
ふわふわの髪の毛が擦り寄ってくる。

『くすぐったいって、達弥。ここ人が多いから、恥ずかしいよ‥』

「ふーん‥じゃあ今日、俺ん家来て泊まること条件でやめてあげる」

ここ最近はお互いの予定が噛み合わず、一緒にいる時間が少なかったためこの約束を取り付けた、とは中々言い出せず、肯定の意味を示す返答を返せば、ふわりと頬に柔らかく口付けされ

「んじゃあ、こんなに長く一緒にAと過ごせるの久しぶりだなあ」

軽快に破壊力のある爆弾を投下していった彼は真っ赤に頬を染め上げた私に気づかず、
流れるように手を恋人繋ぎにした。

「ほら、行きたい洋服屋さんあるんでしょ？ささっ、レッツゴー」

私の歩くペースに合わせながら、この頃の彼のバンド活動の話を聞いたり、愚痴を言ったりしながら過ごす時間が大好きだなあ、と噛み締めて

『助けてくれて、ありがとう達弥』

「なあに言ってるの、A。困ってる彼女を助けることが彼氏の役目であり使命なんだから、お礼なんて言わないでよ」

『‥なんだかそれって、』

記憶の限りでは、彼のバンドのとある曲であった気が‥と頭を悩ませていると

「この身を捧げたナイトとクイーンのようになって、でしょ？
その流れだったらAはクイーンで、俺は騎士だけど、どうせならキングのほうが良いなぁ」

『え、達弥それって‥』

「しーっ、ちゃんとしたのは絶対に言うから、ね？」

純白のドレスを着て、最愛の彼と光り輝くバージンロードを歩くのはそうは遠くない
その時には私の全てを貴方に捧げるのだろうな、と横顔を見つめながらそう思った。

『そういえば、あの人たちになんて言ってたの？』

「え、とそれは‥」

人の女に何手出してるんだよ、今すぐにでも話さないとどうなるか分かってるよな？‥だよね。
そう伝えれば、「聞こえてたのかよ」と顔を真っ赤に染め上げたのだった。