比翼の鳥 (ページ4)

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ロールプレイ　°vanillas_gt.vo. ページ4

貴方side

真昼時、予定時間の十分前に約束していた場所に着いたため、時間を潰すために液晶画面に触れる。
緑のメッセージアプリを開けば、【電車が遅延しちゃってたから、あと2分ぐらいで最寄駅着く！】という新着メッセージが表示されていた。

『全然大丈夫だよ、っと。』

当たり障りのない返信を送り、ふと視線を上げると手を繋いで歩いていく仲睦まじいカップルや親子が通り過ぎてく。心の奥はいつしか羨望の気持ちに覆われ、見ていることが辛くなってしまった。
気がついた時には目から一粒の雫がアスファルトに染み付き、封を切ったように涙が溢れ始めてしまった。
すると、視界には二人見知らぬ男性が二人、目の前に立ち止まり

「お姉さん、一人？って泣いてるじゃん！」

「泣いてたら、可愛い顔が腫れちゃうから人気が少ないとこ行って、落ち着きましょ？」

『っ、結構です！人を待っているだけなので』

「こんなに可愛い人を待たせて泣かせるって相当ダメな男だね」

あからさまにナンパをされていると思い二人から離れようと試みたが、
がっちりと手首を掴まれてしまい逃げることが出来なくなってしまった。
恐怖のあまり腕を振り切る、なんてことは出来ない状況且つもう一人に肩を抱かれ、諦める以外他無かった。

『達弥ぁ‥』

消え入りそうな声で振り絞った声はきっと届かないだろうな、と思った

「何してるんですか？その子、僕の恋人なんですけど」

後方からずっと会いたくて堪らなかった姿が見えてほっとしたのも束の間、
勢いよく腕を引かれてあっという間に彼の腕の中に収まった。
視界に入らないように後頭部を胸板に優しく寄せられ、骨張った指が耳を覆い

「‥な‥、‥よ」

はっきりと聞こえなかった言葉は誰に向けて発しているのかは何となく察したが、
具体的に何を言ったかまでは分からなかった。