微笑みの中に住む大型犬 °鍵話_Dr. ページ20
貴方side
響き渡る蝉の騒音と溢れんばかりの生徒の姿
高校生が一番楽しむことのできる行事である文化祭が絶賛行われている中、私は人探しをしている。
クラスメイトから店番をサボった軽音楽部に所属する金髪と緑の頭をした人物を見つけて来いとのこと。
「よく聞いてね、A。そいつを見つけた瞬間、絶対に逃しちゃダメだからね?良い?」
『うん、それは十分に理解したから‥行ってくるよ』
会話を交わし、探し始めてから15分を過ぎたところだろうか。どこを探しても彼は居ない
『はあ、私はかくれんぼの鬼じゃないっつーの‥ん?』
とぼとぼ歩いているとふと何か耳に掠めた。耳を澄ますと女の子の声と目当ての人物の声。
「あのっ、私‥八木くんのことがずっと好きだったんです!だから、その‥付き合ってください!」
体育館裏、出店もない人気のない場所。女の子の目当てを達成するには絶好の状況。
しかし、咄嗟に隠れたけれど此処から動くんだったら確実に二人に見られる。
でも、八木くんを連れ戻さないといけないし‥
八木「俺そーゆーのは断るって何回も言ってるよね。店番抜けてきてるし、そろそろ戻んないといけないんだよね」
この為に抜けてたのか‥せめて声掛けてから行けよ、とは後々言わないようにしておこう。
『(彼女の一人くらい居てもおかしくない容姿なんだけどな、八木くんって)』
泣き崩れている女の子とは反対に冷静な八木くんはポケットから携帯を取り出し、誰かから電話があったのかこっちに歩きながら話し出した。
八木「タケどしたの?いや、サボってはないから‥Aちゃんが俺を探しに来てんの?ちょ、一旦切るわ!はーい」
小野くん、ナイス!と心の中で呟きつつ、隠れていた物陰を八木くんが通り過ぎようとした瞬間、足元にあった小枝を踏んでしまった。
八木「へっ!?‥Aちゃんそこに居たの?ってか、俺のこと探してくれてたんだよね!?ごめんね‥」
『いや、その全然大丈夫なんだけど‥八木くんも大変だね』
八木「ん?ああ、さっきのやつ?あの子、結構しつこいんだよね〜」
八木くんにとってはあれが日常茶飯事なのかと呑気に衝撃を受けていたら、彼は聞こえるように呟いた。
八木「告白するの、Aちゃんだったら嬉しいのに」
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作者名:AliCE | 作成日時:2022年12月23日 19時