灼熱が近くに °バニラ_gt.cho ページ16
「切れ味の良い鰭」の続きのお話。
ーー
貴方side
進太郎くんが台所で規則正しい何かを切っている音を聞き始めて約30分ほど。
私はというと、のんびりソファでくつろぐ‥なんて事はなく目の前のパソコンの画面を必死においかけ、手元を動かしている。
休日にまで仕事とか舐めてんだろ、あのつるっぱげ上司。
本気で逃げ出したくなる気持ちは山々あるが、これもgo!go!vanillasを支える仕事の一環なのだから仕方がない。進太郎くんや牧さん、プリティさんにジェットさんに迷惑かけられないからな‥
『はあぁぁぁ、夏フェスもライブハウスツアーも始まっちゃうから大変すぎる‥。』
全ての仕事を私に押し付けてくる例の上司からまたもや多量の資料をまとめ上げるように指示された。こっちは休みだっつーのに‥
『期限今日までとか体調不良になってくださいね〜って言ってるのと同じだよ?は?』
柳沢「まあまあ、Aちゃん。ほら、カレーライス作れたから一緒に食べよ?」
『うっ、しかも私の大好きなキーマカレーじゃん‥進太郎くんエスパーか‥?』
柳沢「ほんと!?キーマにして良かった‥」
進太郎くんが作った料理なら何でも美味しい気がする。だって進太郎くんはタロズキッチンだし(謎理論)
ローテーブルに並べられた二つの陶器からは、優しくもスパイシーな匂いが広がっている。おまけにバゲットも用意されていた。
柳沢「今回も頼まれたお仕事?」
『たのまへはってひうは(頼まれたっていうか)んぐっ、押し付けられただけかな』
柳沢「え?」
『まあでも、バニラズに直接関わるようなやつだから私がやらないとあいつやらないし‥』
多分、あの人私よりも仕事してないから早く辞職した方がバニラズのためなのでは?と強気になってきている。
柳沢「押し付け!?Aちゃんに!?信じられないんだけど‥」
大きな目がさらに大きく見開かれ、驚く素振りしか見せていない進太郎くんの質問攻めが始まった。
柳沢「いつから?」
『うーん‥私がバニラズの担当になってから一ヶ月とか?下手するとそれより前かも』
柳沢「まじか‥あとね、なんにもされなかった?その人に」
『えーと‥』
三つ目の質問に関しては、図星でしかない。何かされていない、とは断言できないのだ。
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作者名:AliCE | 作成日時:2022年12月23日 19時