比翼の鳥 (ページ15)

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優越感　°住処_gt.vo. ページ15

貴方side

仕事から帰ってきて、最低限のことを済ましてから居間へ行くと温かい体温、細くて筋肉質な腕に包まれた。

『片岡さん、これは‥』

片岡「ん？」

『いつもこんな事しないから、ちょっと恥ずかしいというか‥』

そう、普段なら手を繋ぐまでがギリギリだったのだから驚くのも仕方がないだろう。

甘い空気は緊張感をほぐしきれずにいるが、やはり甘美で、チョコレートを煮詰めたような濃厚さだ。

片岡「Aはさ、嫌？俺にハグされるの」

濡れた瞳を向け、首を傾げる姿は例えるならば間違いなく子犬だ。

肯定せざるを得ない、というか本心は嬉しい。今日くらい、頑張って伝えてみよっかな‥

『‥いいえ、嫌いじゃないですよ？むしろ、』

片岡「むしろ？」

『嬉しい‥です』

不安げに斜めになっていた片岡さんの眉毛は柔らかくなっていて、ほんのり耳が赤くなっていた。

『私だって寂しいですよ。片岡さんがツアーに行ってらっしゃる時とかは余計に、っていう感じですかね‥』

片岡「良かった‥俺だけ寂しいと思ってたらどうしようかと」

『そんなことはないですよ、今は全力で充電してますから寂しくないです』

半年もしない内にまたライブハウスツアーが始まってしまう。

だから、一日一日を大切に過ごさないと心のバケツに溜めていた幸せの水が蒸発してしまう。そうならないように、温度調節をしないといけない。

片岡「Aのわがままだったら、振り回されてもいいかも。てことで、休日に行きたい所連れて行ってあげるよ。何処がいいかな？」

離れていく体温を惜しむが、呆気なく消えてしまう。

朗らかな足取りでひょこひょこと考える姿はいつ見ても可愛いとしか言いようがない。

そんなこと本人に言うと、かっこいいの方がいいのに、と怒っちゃうけどね。

『じゃあ‥この間できたショッピングモール、お願いしても良いですか？』

片岡「了解、手繋ぎながら色んなお店回ろうね」

人気者の貴方とデートをすることは、許してほしいな。

たとえ、ファンの中に片岡さんに本気で堕ちている人がいたとしても‥ね。

ｰｰｰ

皆様、お久しぶりです。

最近忙しいために、全然更新できず申し訳ございません。

久々のメディア出演、宝物でした。

「再出発」として、彼らのお話も書き始めていきますね。