曲者揃いのスリザリンは毎日騒がしいらしい。 (ページ9)

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新学期スタートページ9

「おなかいっぱい」

談話室に着くや否やスコーピウスはそう呟いてドサッとソファーに体を沈める。

「ホグワーツのご飯って美味しいからつい食べすぎそうになるのよね」

談話室には他の生徒ももちろんいるが3人は相変わらず避けられているので周りにはほぼ誰もいなかった。

やけに静かなアルバスは何も言わなかったが、Aとスコーピウスには慣れたものだった。

「Aは僕らと絡むようになってから…嫌なことをたくさん言われてるけど…嫌じゃない？」

アルバスは自身の膝を引き寄せ、小さく縮こまって座る。

Aはアルバスが急にそんなことを言うものだから驚き、ぱちくりと瞬きをする。

「最初のうちは…そりゃイライラしたけど…。でも別にあなたたちが悪いわけじゃないじゃない。根も葉もない噂なんて直ぐに消えるわよ。それに、今となっては2人とおそろいだと思わない？」

ニヤリと笑ったAはちっとも自分に対する悪口を気にした様子はない。

その言葉にアルバスもスコーピウスも笑顔になる。

「君の捉え方にはいつも驚かされるよ。それに君が初めて出会った時よりも強くなってることにもね｣

“君の感性は面白い、好きだよ”とスコーピウスは笑った。

「僕、Aが嫌な奴じゃなくてよかった」

アルバスはそう言って柔らかに微笑んだ。

「ありがとう、2人とも」

ほんの少しピリピリしていた空気が一気にふわりと和らいで、3人の空間を和ませる。

「それにね、もし噂が本当なら私もスコーピウスもホグワーツには入学してないと思うの」

グイッと伸びをしてAはふふっと笑った。

その姿が1年生の頃より大人びて見え、スコーピウスとアルバスは少しドキリとする。

「確かにそうだと思うよ」

「噂が本当じゃなくてよかった。噂が本当なら僕は今頃一人ぼっちさ」

「私だってもっと険悪な子に育ってたでしょうね」

「想像できないなあ」

3人は新学期、いいスタートを切ったようだ。

2年生になった3人の毎日が再び動き出す。