曲者揃いのスリザリンは毎日騒がしいらしい。 (ページ37)

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ここにいるページ37

それからクリスマス休暇は終わり、Aはトランクを手にキングズ・クロス駅へ向かっていた。

「おばあちゃん送ってくれてありがとう」

「いいのよ、次会えるのは夏休みかしら？｣

「ええそうね。じゃあ、行ってまいります！｣

「行ってらっしゃい！」

長い間手を振る祖母に手を振り返しAは列車へと足を踏み入れる。

アルバスはまだ見当たらないようで、Aは先にスコーピウスのいるいつものコンパートメントに向かった。

コンパートメントに着くと、ブロンドの少年がいつものように座っている。

「スコーピウス、」

「！Aっ！」

「えっ」

スコーピウスはAをガバッときつく抱きしめる。

Aは友人のいきなりの行動に驚きを隠せず、手荷物をドサッとその場に落とす。

「ウ、え？オーケー…？どうかした？」

「……元気にしてた？」

「え、う、うん……ねえ、本当にどうしたの？｣

スコーピウスが小さく震えているのが分かってAはやや動揺しながらもスコーピウスのサラサラとした髪を撫でた。

「…ス、スコーピウス…｣

スコーピウスから香るスイーツのような甘い匂いにAは不覚にもドキドキした。

「君が…母さんと同じ血の呪いを発症して死んじゃう夢を見たんだ…」

「！……スコーピウス、大丈夫よ。私はここにいる。死んだりしないよ」

スコーピウスがこんな夢を見たのはきっと最愛の母、アストリアのことを心配しているからだろう。

「フクロウ便を送ってくれたらよかったのに」

「いっぱいいっぱいになってて……」

スコーピウスはぎこちなく体を離して“ごめん、取り乱しちゃったや”と困ったように笑った。

Aは一度、強くスコーピウスを抱きしめた。

「無理はしないでね……本当に。私はここにいるからね｣

「うん…ごめん｣

「きっともうすぐアルバスがくるわ。座ろう｣

「うん」

Aは驚きかなんなのかドキドキと胸が小さく音をたてていた。

一方、スコーピウスの方も何処と無く鼓動が早くなっていた。

しかし2人は自覚する日はまだ先のこと。