白烏 ２

【 正体不明の彼 】 ページ46

《 孤爪side 》



孤「…で？」

黒「あ？」

孤「誰だったの？あの人」

黒「永田玲君。烏野のWSだってよ」





ふーん。

迷子になった事をクロが咎めない。自慢じゃないけど俺はよく迷子になる。ワザとでもないけど

その度にクロが探して迎えに来てくれる

その度に小言を言われるけど、俺が悪いから取り敢えず頷いてたりするのが通常パターン



けど今回クロは何も言わない。クロが本気で怒ると静かに、一言一句に重さを込めて言う。

今も静かだけどちょっと違う。もうトレードマークに成りつつあるトサカを揺らして、鼻歌鳴らしながら上機嫌だ


何かあったなんて一目瞭然

永田玲…確か翔陽の口からも名前が出てきた人

さっきのアルビノか…

けど翔陽はMBって言ってた。ボキャブラリー少ないから “スゲー” とか “賢い” とかしか印象付かなかったけど

確かに頭はキレそう…




黒「！？研磨どうした？顔が緩んでんぞ」

孤「…その人、どんな人だった？」

黒「！！？研磨が人に興味を持った！？」

孤「煩い。…で？」

黒「まぁ観察力はありそうだな。あと人見知り、何かお前と似てる感じだったわ。THE無気力」

孤「随分と楽しそうに話すね……惚れた？」





ぶっふぉっ？！研磨クン？！ て荒ぶってるクロは無視しよ

そっか、クロが惚れちゃう様な人か…容姿は綺麗だと思った。俺は綺麗って思ったと同時に少し怖かった

俺が人見知りだからとかじゃなくて、ただ単に底なしの穴を見下ろした感覚
心臓がゾワッてして、鳥肌が立った



けど…それと同時に興味が湧いた






“どんな人なんだろう”







今のクロの言葉は当てにならない。惚れたフィルターが掛かってるから
だから…熱くなったりは嫌いだし、出来れば練習試合なんてやりたくなかったけど…




翔陽と永田…か。ちょっと…楽しみかもしれない





黒「…俺にご機嫌とか言っておきながら、研磨も随分とご機嫌に見えるぞ」

孤「…クロ…ライバルになったら…ごめん、ね」

黒「！！？…へぇ？無気力他人に興味無しな研磨が、ねぇ？」

孤「…まだ分かんないけど…」






彼には人を惹きつける何かがあるのかな…

性格真反対のクロと俺が惹かれちゃうような何か…








日「永田のバレーって魔法みたいなんだ！」







非科学的だけど、何故か有り得そうな気がした

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