白烏 ２

【 もう一本 】 ページ26

《 東峰side 》




菅「もう一回 俺にトス上げさせてくれ 旭」



西「だからもう一回！！トスを呼んでくれ！！エース！！」








スパイクが打てるのはトスが上がるから





トスが上がるのはトス(そこ)へ繋ぐレシーブがあるから




そのスパイクを打つのだって俺だけじゃない



皆がそれぞれの仕事をしてたのに俺はーー…








影「1人で勝てないの当然です」



日「だから皆 旭さんを “ エース ” って呼ぶんだ」



澤「お前がまだバレーを好きかもしれないなら、戻ってくる理由は十分だ」




貴「負けたまんま、逃げたら、一生負けたまんまですよ」




西「俺が繋いだボールを！あんたが勝手に諦めんなよ！！」









菅「嶋田さー」


東「菅原(スガ)ァァーーーッ！！！もう一本！！！」







菅「( ーああ エースが待ってる。トスを呼んでる)…旭！！」




ー…ファッ




菅「(ネットから少し離した高めのトス。何本も何本も上げてきた、旭の得意なトス…単純なこのトスでも、精一杯丁寧に)」




ー…キュッ




月「君向こうのチームに肩入れしてんの？悪いけど止めるよ？」

影「当然だ。手なんか抜いたら何の意味も無ぇよ」

田「ぅぉぉおお！！」







3枚ブロック…でも




西「………」





頼もしい背中の護り


俺の為の1番打ちやすいトス



不足なんてない






単純で当たり前のことを、いつの間にか忘れていた


俺は1人で戦っているのではない







託されたラストボール




何度壁にブチ当たろうとも ーー 打ち切る






打ち切ってこそ





ー…ガガァンッ！！！





エース！！！





武「うっひゃぁ！すんごい音っ！ “ ドゴゴ ” って！」


菅「ナイス！！ナイス旭！西谷も！！」






東「……お前らも…ナイストス…スガ……西谷も…ナイスレシーブ」






ああ、戻ってきた

戻ってこれた




沢山の人のお陰で、俺の大好きなこの場所に、戻ってこれた




またスパイクが打てる







どんな逆境の中でも、大切な仲間が繋いだボールをもう2度と諦めない







どんなに苦しくても






貴「根本は “ バレーが好きな東峰先輩 ” じゃないんですか」








俺はバレーが好きだから

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