白烏 ２

【 記憶の片隅 】 ページ2

体育館に響く笛の音に歓声。セットカウント2-1




『お願いしアース！！』


武「！？」


菅「先生何か講評とか」


武「あっそっそっか！



…えーと…僕はまだバレーボールに関しては素人だけど…




なにか…なにか凄いことが起こってるんだってことは分かったよ。

…新年度になって……凄い一年生が入ってきて、でも一筋縄ではいかなくて……だけど」






澤「日向と影山は今はバラバラだけど、ちゃんと力を合わせられたらなにか…凄い事になる気がするんです」







武「澤村君がそんな風に言ってて、その時はよく分からなかったけど、今日分かった気がする


バラバラだったら何てことない1人と1人が、出会う事で化学変化を起こす



今 この瞬間も何処かで、世界を変える様な出会いが生まれていて



それは遠い遠い国の何処かかもしれない。地球の裏側かもしれない。

もしかしたら…東の小さな島国の、北の片田舎の、ごく普通の高校の、ごく普通のバレーボール部かもしれない。

そんな出会いがここで…烏野であったんだと思った。



大袈裟とかオメデタイとか言われるかもしれない。でも信じないよりはずっといい。根拠なんかないけどきっと、これから、君らは強く 強くなるんだな」






武田先生の言葉は主に日向影山に向けてなのに、なんで当の本人達はサッパリ理解出来てないんだよ。何億分の一の確率でお前らが出会ったって言いたい訳だよ。




ポエミーだった！？ひいた！？って慌て出す武田先生本当に可愛い。29歳って嘘でしょ？ねえ？







国「…おい」



武田先生の可愛さに悶えていたら真ん中分けに声を掛けられた。何処かめちゃくちゃ不機嫌な顔付きで。





国「…国見英……」


貴「へ…？」


国「お前金田一の事も覚えてなかったんだろ？必然的に俺も知らない訳じゃん…けどそれはムカつくから…ちゃんと俺の事覚え」


貴「気だるげな、性格…体力配分が上手くて、後半注意が必要、な…選手」



国「……は？」


貴「名前、知らなかった…でも、中総体の時…第一セット見てて、思ってた…こと。」


国「……へぇ。まぁ覚えたんならいいけど。あと、金田一の事も覚えろよ」




返事を聞く前にスタコラサッサと背中を向けて歩き出した国見
バレー馬鹿な影山と衝突したバレー馬鹿な金田一



覚えやすいったらありゃしねぇわ

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