No.16 ページ18
桑名江 「大体こんなもんかな」
秋田 「疲れました〜」
桑名江 「お疲れ様」
蝶月 「…これは台所に持っていくのか？」
桑名江 「うん、そうだよ」
蝶月 「わかった」
燭台切 「わ〜、沢山取れたね！」
秋田 「大収穫です！」
燭台切 「ジャム、楽しみにしててね！」
秋田 「はい！」
蝶月 ｺｸﾘ
蝶月 (…何もすることが無くなった)
スタスタ
蝶月 (大倶利伽羅と火車切は…出陣だったか)
縁側 ｽﾄﾝｯ
蝶月 「……」
??? 「わっ！」
蝶月 「？」
鶴丸 「これは驚きだぜ！反応が無いなんてな！」
蝶月 「…鶴丸国永」
鶴丸 「鶴丸でいいぞ」
蝶月 「…鶴丸」
鶴丸 「よっこらせっと、どうした？ボーッとして」
蝶月 「……」
鶴丸 「??」
蝶月 「…寂しくなった」
鶴丸 「！君…寂しいという感情があったんだな」
蝶月 「……( ≖_≖ )」 ボコッ
鶴丸 「アイテッ」
蝶月 「…我にも寂しいという感情くらいはある」
鶴丸 「そうか。…なんで寂しくなったんだ？」
蝶月 「……」
鶴丸 「……」
蝶月 「…ただの刀だった頃、」
鶴丸 (おっ、喋った)
蝶月 「ただの刀だった頃、我はお飾りの刀だった。
客間に飾られているか、宝物庫に入れられるかだっ
た。見栄を張る為のお飾りの刀。故に独りには慣れ
ていた。…だが今世に付喪神として顕現し、お飾り
の刀ではなく一本の戦う為の刀として扱われ、弟
達と再会し、この本丸で過ごした数日の間に色々
な刀と出会った。皆、我に良くしてくれる。笑い
かけてくれる。この数日で我は独りではなくなっ
た。…だから、誰も居ない今を寂しいと感じた。
ただ、それだけだ。」
鶴丸 「…なるほどな」
蝶月 「…あぁ」
鶴丸 「まぁ、わからんでもないな」
蝶月 「…とういうことだ？」
鶴丸 「いや、なに。俺も案外寂しん坊だからな。」
蝶月 「…鶴丸が？」
鶴丸 「あぁ。さっき君を驚かしたろ？」
蝶月 「？…あれは驚かされていたのか」
鶴丸 「ハハッ！やはり驚いていなかったか。
…まぁ、なんだ。俺は君らを驚かして、その後の笑っ
たり、怒ったりしているところを見て楽しんでい
る。勿論、一人静かに本を読んだりしている時もあ
るぞ。だが、やはり独りは退屈だな。また、直ぐに
驚かしに行く。だから、案外俺も寂しん坊だ。」
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作者名：やつはし | 作成日時：2024年3月21日 1時
