第四話 ページ5
「はいはい、ありがとうね。で、君らお互いはアリなの？」
風間尊は俺たちを交互に見ながらそう尋ねた
アリとは一体どういうことだろうか
「三年も男子校で過ごせばストライクゾーンも広くなるわけよ。生憎女子校も共学校も近くにないから、同年代の女と会える機会が無いんだわ」
「まあ、つまりは恋愛対象としていけるのかどうかってことだよ」
一番前の席に座っていた生徒が補足の説明をしてくれた
男子校には少なからずそういう人種がいることは分かっていたが、本当にいるとなると少し身構える
「見た感じ、二人ともケツは守ったほうがよさそうだもんな〜」
「２-Ｃにやべー奴いるから気を付けるんだぞ」
「隣のクラスに性癖ひん曲がった奴いるからな。ＳＭ好きとか」
教室内から口々に色々な情報が飛び交う
「そういうこった。君らはいけるのか？どうなんだよ」
風間尊は俺たちにもう一度尋ねた
「どうって言われても･･･」
「俺たちは普通の友達です」
「普通の友達から一線超えるんだって！」
この学校は普通に比べてとんでもないことは分かった
俺にはそっち方向の趣味はないし、とついさっきまでは思っていた
だが、この学校に３年通えばそちら側に目覚めてもおかしくないだろう
「一年の間からそんな奴いないだろ。居たとしても２年の鮫島ぐらいだ」
口を開いたのは窓の外を眺めていたあの生徒だ
窓から視線を黒板に戻し、俺たちを見た
色白で儚げな印象の生徒だった
「お前に一年越しの片思いが何人いたと思ってんだよ。結城」
風間尊はその生徒の方に向いた
「知らない。俺には関係ないし、興味ない」
結城と呼ばれた生徒は腕時計を見ると荷物を持って立ち上がった
「アホらし･･･。帰るわ」
「待て待て、まだ何人かいるんだって！学校一の美人の結城の意見を欲しいんですよ！」
「ほとんど見てないから別にどうでもいいんだけど･･･。その子達、早く帰してあげなよ」
そう言うと教室から出て行ってしまった
俺たちもその後解放されようやく帰路に付いた
「マァジ緊張したわ〜」
将雅は大きなため息を付いた
「ガチでそっちに目覚めたらどうしよう俺･･･」
「え、どうしたの急に･･･」
将雅は神妙な顔で呟いた
「３年間まともに生活出来なさそう･･･だってよぉ･･･」
俺は将雅の次の言葉を待った
「この学校顔が良いヤツ多過ぎね？」
「は？」
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作者名：青薔薇 | 作成日時：2018年9月16日 10時
