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店
平日に開店直後に来るお客さんなんて少ない。
まだ田中くんは来てないから、気を抜いてた。
「Aさん、疲れてんのぉ?」
『わぁっ!!え?田中くん!?』
納品書を確認してると頬に氷の感覚。
体が軽く飛び跳ねた。
「今日、講義午後に移っちゃって、来れないから今来た。」
「どしたの?Aさん疲れた顔してた。」
彼は大学生だけど、大人び過ぎている。
『そーなんだね、松村さんに言った?』
「北斗に言ったら、Aに事情説明してどうにかしてって丸投げされた。」
『そっか、大丈夫だよ、学業優先だし。』
「これ、Aさんにあげるね。」
彼に手渡されたのは、流行のレモネードで、今の気持ちを軽くしてくれそう。
『ありがとう、田中くん。』
「ねぇ、仕事以外でさ、Aさんのこと呼び捨てで呼んでもいい?」
『いいけど、なんで?』
「だってせっかくの同い年だよ?仲良くしたいもん。」
『レモネードのお返しね?じゃあ。』
田中くんはニヒッと笑って、
「じゃあ、俺のことも樹って呼んでね?」
『樹くん?でいい?』
「やった!やっと北斗と並んだよ!ねえ、A、溜め込み過ぎちゃダメだからね。俺のこと頼ってね。」
子供のように喜んだあと、そんな大人な発言されて
『ありがとね、田中くん。』
「あっ!田中くんって言った!!」
『だって、仕事中だもん。タイムカード押してきて?ほら早く!』
もー、なんで?って項垂れている彼を見送る。
少し気持ちが軽くなったかな。
仕事は仕事だ。
ジェシーくんとのことは、仕事終わってから考えよう。
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作者名:エリンギ | 作成日時:2020年7月28日 17時