優しすぎるあなたは。 (ページ4)

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焼き鳥屋

「そんな帰りたそうにしないでくれる？」

『松村さんが無理やり誘ったんでしょ。』

「でもついてきたのはA。あと、呼び方やめてそれ。」

『要件は？』

「ジェシーと今でも暮らしてんの？」

口に入れたネギマの味が苦くなる。

「答えて。」

『一緒に暮らしてる。』

「もう、いいだろ。なんでまだ、」

『北斗に、そんなこと言われる筋合いないよね。』

「髙地はさ、」

『やめて。』

「A、現実を見ろって。もういいだろ、」

『うるさい！！！』

ガヤガヤした店内に静寂が訪れる。

『彼は、わたしが立ち直るまでいてくれるって言ってくれたの。ねえだから、わたしのこと壊さないで。』

また店内がガヤガヤとし始めた。

『わたしの幸せをあなたまで取り上げないで。』

北斗は罰が悪そうな顔をして「ごめん。」と言った。

なにも話さず、時間だけが過ぎていく。
もう帰ろうと立ち上がろうとすると、

「あ、Aさん！探したよ？」

何故か、焼き鳥屋に彼がいて。

「北斗といたんだ。久しぶり。ごめんね、多分ここだろうと思って迎えにきたんだけど、そんな酔ってなかったね。」

『ううん、ありがとう。』

ほら。北斗。さっきまでの気持ちがなくなるの。
ジェシーくんはわたしの太陽で水で酸素なの。

「まだ飲む？それなら、俺ちょっと時間潰すよ？それか3人で飲む？最近慎太郎にしかあってないからさ」

「お前らいつまで経っても仲良いんだな。」

「あったりまえよ！北斗も俺の仲良しじゃん？」

「はいはい。」

さっきまでの雰囲気が嘘のように良くなっている。

「あ、それで、どうする？」

『今日は帰ろうかな。』

ジェシーくんが少し不安な顔をして、「いいの？」と聞いてくる。「俺が明日早いの、そろそろお開きにしよって言ってたところ。」北斗がそうフォローしてくれて、

「俺が出すし、ほら、帰った帰った。」

伝票であっちいけとされて、お店を後にした。