優しすぎるあなたは。 (ページ11)

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家

『ただいま。』

9時前に家に着く。
なんでだろう。疲れてる。

ううん。理由なんて明確だ。

いつもおかえりと出迎えてくれる彼。
出てこないのは、仕事かな。

いや、もう呆れたのかな。

手を洗って、こっそりとリビングに入る。

リビングから見える彼の部屋。

扉は開けっぱなしで、パソコンで何か作業をしてる。

そうだよね。わたしがいなかったら、もっと上にいける人なんだ。自分のために時間を使って、自分の武器をたくさん身につけることができる人なのに。

荷物を置いて、シャワーを浴びる。

この感情も全て流れていけばいいのに。

「Aさん？帰ってたの？ごめんね？気づかなくて。」

ドア越しに聞こえる声。

『ううん。ごめんね、作業の邪魔して。』

もう上がるよと声をかけて、脱衣所から出て行ってもらう。

あなたの優しさを感じるたび、苦しいよ。

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ジェシーside

バタンっと音がして、シャワーの音が聞こえた。

「Aさん？」

作業に集中しすぎて、出迎えれなかった。

朝も元気なかったし、ケーキ食べてくれるかな。
疲れてるかな。

Aさんのこと考えながら、ドア越しに声をかけると、少し冷たい声。

もう出るよと言われ、リビングに移動する。

お湯を沸かして、紅茶でも淹れようか。

相当疲れてるんだ。そう思って準備をしていると、
髪も乾かさず、『ごめん、お仕事中だったよね？私もう寝るよ。』とこちらを見ることもなく寝室に向かった。

なんで。

彼女を追いかけて、「せめて、髪だけ乾かそう？」と肩にかけているタオルに手を伸ばそうとした。

なんで。

『…ごめん。』

手が弾かれて、

『もう、いいよ。』

なんで。

『ごめんね。』

そんな顔するの。

そんな顔、2度も見たくないよ。