【ヒプマイ】マイクはきだめ集!!!2nd!!!

episode#3 ページ28

「確かにありますけど、それが何か…?」

「驚かないで聞いてほしいんだけど…ここにいる私達三人は、先日君に助けられた狼なんだ」

「え…」


髪が長い彼はそう言った。
狼?でも彼らはどう見ても人間だ…
だが彼が嘘を言っているようにも見えなくてなんだか混乱してきた。


「ごめんね、突然言われても困ってしまうだろう…独歩くん、アレを見せてあげなさい」

「はい、先生…」

「アレ…?」


俺が首を傾げていると、目の下に隈を作ったちょっと不健康そうな男の人が自身の腕を此方に向けてきた。
その手首には見覚えのある白いハンカチが巻き付いていた。


「こ、これは…」

「あの日貴方が怪我をした俺に巻いてくれたハンカチです…」


そう言って彼は腕からそのハンカチを取り広げて見せる。
白かったハンカチが血を吸い込んで薄く赤く染まっている。


「頑張って、川で洗ったんですけど…血が落ちなくて…すみません」

「い、いいんですよそんなの!!それより本当にあの日の狼さんなんですね!!無事で良かったです!!」

「っ…やっぱり優しいんですね…」


白いハンカチは、確かに狼に巻いたものだった。
彼らが狼なのは確かなんだろう。
よく見たら耳や尻尾も付いていた。


「でも、何故人間の姿に?」

「それはねー、俺っちたち君にどうしても恩返ししたくてさ!あの月にずっとお祈りしてたの!!人間にしてくださいって!!」

「月に?」

「私達も信じられないんだけどね。どうやら思いは通じたようだ」


そう言って夜空に浮かぶ月を指差した。
今日は満月か…とても綺麗だ。


「それで本日は、恩返しをさせていただきたくっ…!」

「え、恩返し何て大袈裟な!!俺は貴方達が無事ならそれで…」

「っ…!そ、そうですよね…突然迷惑ですよねこんな…俺がまたAさんに会いたいなんて言うから…俺のせい、俺のせい俺の俺の…」

「ちょ、全然迷惑なんかじゃ!!」

「独歩ネガるなー!」

「独歩くん、また悪い癖が出ているよ」


突然漂う陰気な雰囲気に戸惑っていると、残りの二人はなだめ始める。
何時もの事なのかな?


「この通り、私達はどうしても君に何かしてあげたいと思っているんだ…これこそ迷惑なのはわかっているけれど、どんなに小さな事でもいいから君に何かしてあげられることはないかい?」

「う、うーん…」


耳と尻尾を垂れさせて、不安げに此方を見つめる三人。
なんだか悪いことしちゃったみたいだ…何かいい案はないのだろうか…

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