過去と今 ページ34
「ええ、そうよ?この契約書を見ればわかるわ」
そう言って彼女は契約書だと思われる紙を俺に見せつける。
「翠の腕にある番号とこの番号は一致するはずよ。だいたい、この町で流星隊のプロデューサーをやってるのは私だけだもの」
「っ…そう、なんですか…」
そうか、この人の元には残りの翠くんの仲間がいるんだ…
きっと翠くんも、仲間たちの元へ帰りたいはず。
でも、本当にこのまま彼女に帰してしまってもいいのか?
翠くんはそれで幸せになれる?翠くんに酷いことをした女だぞ。
…いや、これはきっと俺の我儘だ。
翠くんと離れたくないって言う俺の願望だ。
まだ数ヶ月しか経ってないけど翠くんと沢山の思い出を作って、沢山お喋りして…
それでだんだん好きになっていって…抱いてはいけない感情にも気づいてしまって…
始めに言っていたではないか。
少しの間だけでいいからって…
別れが来ることは覚悟していたはずなんだ。
…翠くんには待っている仲間がいる。
俺なんかが翠くんを縛り付けちゃいけないんだ。
「貴方が翠を見つけてくれたのには感謝するわ有難う。さぁ、翠を返しなさい」
俺は漸く決心して口を開いた。
はずなんだ…
「い……だ…」
「はぁ?ハッキリ言ってちょうだい」
「嫌だっ!!」
「…貴方、何言ってるの?」
しまったと思ったがもう遅かった。
開いてしまった口は止まらない。
「翠くんには心があるんだ…」
「そんなこと知ってるわよ。」
「…それを理解していて何故翠くんを悲しませるようなことしたんだ」
「悲しませる?何の話かしら。貴方、何もわかってないのね」
確かに、俺はなにも知らない。
ここ数ヶ月翠くんと暮らしてきたけど、それでもまだ翠くんの過去について不確かなことばかりだ。
「翠が何を言ったのかは知らないけど、私はただ少し注意しただけよ?翠がちゃんとレッスンしないから…悪い子にお仕置きするのは当たり前でしょ?」
昔の翠くんのことは知らない…
だけど、今の翠くんのことは誰よりも知っているから…
「翠くんは、悪い子なんかじゃありませんよ…」
「は?…」
「練習も、俺が仕事で居ない間にやってるらしくてたまに俺に聴かせてくれるんです。まぁ、恥ずかしがって俺から言ったらなかなか聞かせてくれないんですけどね…」
俺はそっと翠くんとの日々を語りだしていた…
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あかねっこ(プロフ) - 仁科一家さん» こういう設定がら、地雷な人多いだろうなぁと思って執筆していたのでそう言っていただけると嬉しいです!更新頑張ります!! (2018年6月3日 14時) (レス) id: 11c41707f8 (このIDを非表示/違反報告)
仁科一家(プロフ) - 普段占ツクのBLってほぼ地雷寄りなんですけど、この作品は本当に好きです。素晴らしい作品ありがとうございます! (2018年6月3日 10時) (レス) id: dec30a2f4d (このIDを非表示/違反報告)
あかねっこ(プロフ) - 琥珀さん» そうなんですよ…流星隊Pを殺しにかかってますね運営は…←更新頑張ります!! (2018年5月19日 23時) (レス) id: 11c41707f8 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - この作品楽しく読んでます!つらいですよね…クラス別スカウトAnd流星隊のイベ...これからも更新頑張ってください! (2018年5月19日 21時) (レス) id: 5e61c82747 (このIDを非表示/違反報告)
あかねっこ(プロフ) - 夜闇の魔物さん» ありがとうございます!!相変わらず亀さん更新で申し訳ないのですが頑張ります!! (2018年5月19日 20時) (レス) id: 11c41707f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あかねっこ | 作成日時:2017年12月26日 19時