【あんスタ】みどロイド、拾った。【男主】

赤い彼とぶつかった。 ページ26

「ふんふふーんっ♪」



あれから翠くんの献身的な看病のお陰で無事風邪が直った俺は今は仕事帰りである。

明日は遂に翠くんとスイーツカフェへ!!

気分は最高である。

そのせいで、道の曲がり角から走ってくる子の事は目に入っていなかった。




ﾄﾞｶｯ


「おわっ!!」


「うげっ!!…だ、大丈夫!?」



ぶつかってしまった子が倒れてしまったので急いで立ち上げる。

どうやら年下の青年ようだ。



「す、すいません!!荷物が!!」


「あぁ、これは大丈夫だよ…それより君、怪我はない?痛いところは?」


「ありません…」



改めて彼のことをよく見る。

綺麗な茶色の髪に真っ赤な衣装が特徴的な子だった。

何だろう…何処かで見た気が…



「君何処かで…」


「へ?」


「いや、何でもないよ!それより…」



今は日も落ちて遅い時間だ。

見るからにこの子は学生だし、こんな時間にどうしたのだろうか?



「君、こんな時間にどうかしたの?凄く焦ってるみたいだけど…」


「っ…人探しを、してるんだ…」


「人探し…」


「アイツはっ…一見やる気がないように見えるかもしれないが、実は頑張りやさんで…」


「うん、そっか…」




彼は涙ぐみながらその子のことを話す。

この様子からすると、兄弟と喧嘩して片方が家出した…とかかな?

だったらそう遠くには行ってないかな?

俺にも探せるか?




「俺も探してあげるよ!!」


「えっ!し、しかし…」


「一人で探すより、二人で探す方がすぐに見つかるんじゃないかな?




だから泣かないでと彼に話しかける。

すると彼は驚いたような顔をした。




「…優しいんだな、まるでヒーローみたいだ…」


「あはは、初めて言われたよ!ありがとう」



すると彼は少しだけ笑顔になった。

さぁ、探すぞということで彼からその子の情報について詳しく聞こうと思ったら不意に彼がなにかに気づいてようにピクッと体を揺らした。




「今は、何時だ?」


「え?今はちょうど８時だけど…」



そう伝えるとさっきまで笑顔になったのが急に恐怖に怯えたような顔をしだす。



「アイツが…アイツが帰ってくるっ…」


「どうしたの?」


「あっ、すまないっ!!俺はもう帰らねばならない…」


「え、そうなの?でも…」


「本当にすまないっ…」




そう言って彼はまた走って何処かへ行ってしまった。

彼は一体どうしたのだろうか…

俺はもやっとした気持ちを抱えて帰路についた。



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