ア カ イ イ ト【孤爪研磨】

After Story ページ23

時は流れ、練習試合も全て終わり、烏野とも別れを告げた。


俺はAと付き合うことになり、連絡先も交換して毎日連絡を取り合っている。

クロとか虎とかだと返信するのがめんどくさくなるのに、Aとだったらそうならないのが不思議だ。






そして、今日

Aが帰ってくる





俺は空港にAを迎えに行った。

もちろん、クロも一緒に。







もうすぐAが乗ってる飛行機が来るはずなんだけど……。









「お、あれじゃね？」



「…あれかな」








大きな飛行機が頭上を通り過ぎる。




…久しぶりに会える。

俺はそのことしか頭になかった。




飛行機からAが降りてくるのを待った。



















「研磨！」









大好きな声が聞こえた。




俺は思わず声のしたほうに走った。


後ろからクロの呼び止める声がしたけどそんなのどうでもよかった。









早くAに会いたい









前にAの姿が見えた。

白のオフショルに青のガウチョパンツをなびかせて走ってきてくれた。


いつもは走るのもだるいけど、Aに会いたくて触れたくて走った。









「研磨ッ！」



「A！！」









ぎゅっと強く、それでも優しく彼女を抱きしめた。


Aも俺の背中に腕を回し、抱きしめ返してくれた。









「…会いたかった」



「…私も」









優しくAの頭を撫でた。

Aは嬉しそうに笑った。









「おーい、ちょっとー？俺もいるんだけどー？」



「えっ」









クロを見つけた瞬間、ぱっと俺から離れた。


もう少し抱きしめててもよかったのに。









「クロ許さない」



「なんでだよ？！」



「あははっ、クロどんまい」



「Aまでひどいなっ！！」









Aと一緒に笑い合って、それからちゃんと向き合った。









「それじゃあ…今から病院行くけど、一緒に来てくれる？」



「当たり前でしょ。そのために来たんだから」



「ふふ、ありがと」



「お邪魔みたいだし帰るなー」



「またね、クロ」



「ありがとね」



「おー」









クロはひらりと手を軽く振って空港の出口に行った。









「行こっか」



「うん」









俺はさりげなくAの手を取った。


Aはクスクス笑って俺の手を握った。









今でも充分幸せだけどなぁ。







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