君の背中 【赤羽業】

~カルマside~ ページ36

みんな修学旅行といういつもとは違う空間だからなのか落ち着かない様子
中には眠れなかった！と自慢する生徒もいる


それは隣にいるAも該当するみたいでとても眠そうに目を擦りながらみんなの話を聞いていた




｢A眠いんじゃないの？｣




俺がそう聞くと曖昧な顔をして
みんなが起きてるから私も起きていたいと答えた
気を使っているからなのか、それとも本当に楽しみたいからなのか



どちらにしろそういう素直なところは可愛げがあるなと思う





｢今のうちに寝とけば？肩、貸すよ？｣




我ながらいい提案だと誇りそうな気分になる
だけど彼女の事だ
遠慮しとくよとでも言うと思っていた


しかし




私｢…じゃあお言葉に甘えて｣




そう言って目を閉じ俺の肩に頭を傾けた
それがあまりにも予想外すぎてじっと彼女を見つめてしまう

するとこの光景を見ていた杉野が口を開いた




｢なぁ、前から思ってたけどカルマと飯塚って距離近いよな｣




俺はその言葉に一瞬動揺するが、冷静になって否定するための言葉を考える




業｢は…？そんなことないと思うけど…｣





そう俺は返したが、実際のところ距離が近いのは確かだ
彼女のパーソナルスペースが広いのか比較的近くにいることは多い





｢それ思ったー カルマくんいっつもAのすぐ隣にいるし、今だって肩貸してあげてるあたり近いよねぇ｣





近くにいるのは正直杉野や茅野ちゃんに言われる前から自覚済みだ
でもそういう風に見られているのは少し心外





そう茅野ちゃんは言い残すと神崎さんや奥田さんと一緒に飲み物を買いに行った




俺は再びAに目を向けた
いつもコロコロ変わる表情が今は静かに、そして心地よさそうに眠っている
少し新鮮にも見えたその顔は俺の心臓をうるさくした

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