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第5Q 同居生活 ページ7

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「許婚、ねぇ〜……」




まったく現実味のない話に、


私はシャワーを浴びながらため息をついて赤司との一日目を終えるのだった。




 




 




 




ところでどうして私がこんな奇妙な同居生活を受け入れたか、って?


そりゃもちろん興味本位。


あともう一つ理由があるとするならば、


私は見る赤司の瞳はどこか冷め切ってて何も映していないみたいだったから。



……その瞳に色が灯る瞬間を、見てみたかったから。




 




 




 




――カーテンの隙間から()れる朝日が私の顔を照らし出す。




眩しくて(てのひら)で目のあたりを覆おうとすると、誰かがその動きを止めた。




「僕より先に起きないとはどういうことだ?」




その誰かが放った一言に、私の意識は一気に覚醒(かくせい)した。


パチリと瞳を開けた先に映るのは小人のはずだった。


なのに、実際は小人がそのまま大きくなったような男の人の顔。




「え。……誰」

「キミの頭は(にわとり)以下か。僕の姿をこんなに早く忘れるとは」

「……赤司!?」




おっきくなってる!、と騒ぐ私をベッドから引きずり降ろした男の人は呆れたように頷くと、


昨日寝かせてやったクッションの上に腰をおろした。




「理由は僕にもわからない。目が覚めたら元の姿に戻っていた」

「そうなんだ。……元の姿ってことは吸血鬼に?」




そう(たず)ねれば、返ってきた返事はそれを否定するもので。




「いや、……魔力はまだ戻らない。テツヤはこれを見越してそれを置いていったんだろう」




そう言った視線の先には昨日黒子さんに無理矢理つかまされた札束入り封筒。



そっか、食費もかかるしそのコスプレ衣装みたいな服もなんとかしなきゃいけないのか……。


魔力? が使えればなんとかなったのかもしれないのに!


何より、こんな目立つ男と一緒になんて出かけたくない。


どうなるかなんて目に見えてる。



……考えてても仕方ないか。




「とりあえず朝ご飯作るから。……赤司はテレビでも見てて」




そう言ってテレビをつけてやると画面にはキャピキャピしたお天気お姉さんの姿。


返事もしないでそっぽを向くその態度に朝からイラっとするわけだけど。




(この暴君!)




心の中でそう(ののし)って気持ちを切り替えた私は、米を()ぎ始めるのであった。









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ゆあ - すごくキュンキュンしました! ヤバイですね! これからも頑張ってください! (2017年3月16日 22時) (レス) id: 8e5932bb74 (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 吸血鬼の赤司がかっこいいです。 応援しています! 頑張って下さい^ ^ (2017年2月14日 6時) (レス) id: bf74db187f (このIDを非表示/違反報告)
かずみ - いえいえ!はい!続編おめでとうございます。 (2015年6月7日 14時) (レス) id: 56b9cb16b3 (このIDを非表示/違反報告)
藍沢鳴(プロフ) - フユトさん» ありがとうございます! これからも更新も含めて頑張らせていただきます!! (2015年5月8日 14時) (レス) id: 5e3089a4fd (このIDを非表示/違反報告)
藍沢鳴(プロフ) - さくさん» ありがとうございます! そんな風に言ってもらえて嬉しいです。(^^) これからも頑張ります!(*`・ω・´*) (2015年5月8日 14時) (レス) id: 5e3089a4fd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藍沢鳴 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2015年4月9日 0時

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