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第34Q 忘れてしまえば ページ36

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「っ、……は…」




私はベッドに寄りかかり、涙で濡れた頬を(ぬぐ)って一息ついた。



目の前がちかちかする。


まるで貧血になったみたい、で。




(……血、吸われたんだ)




改めてそう思い、私は傷口に指を伸ばす。


そうするとすでに固まった血の固まりが指についてしまった。




「結局、なんにも言わなかったなぁ……」




指先を見つめたままそうつぶやいて、私は部屋の中を見渡した。




一ヶ月前にはなかったような将棋や本、物干し竿に干された男物の服。


それらはここに赤司が確かにいた証拠になって、それを見ているとまた目頭が熱くなってくる。



結局、私は赤司にとって“餌”でしかなかったワケだ。



ならもういなくなったんだし、忘れてしまえばいいじゃない。


呪いが解けたんならもうここに戻ってくることもないんだろうしさ。



……なんて思えたら、どんなに楽だったんだろう。




 




 




 




「…馬鹿……!」




さよならも言わないで。


さんざん偉そうに振る舞って。



私をこんなに、かき乱して。




そうやっていなくなった赤司がそのうちひょっこり帰ってくるんじゃないかと、


そんな期待をしてしまうほどに、私は。



私は、赤司が好きで。



声を殺してうずくまって、枯れるまで泣き続けた。




 




 




 




 




 




一晩経っても、三日過ぎても。


あれから二週間が経っても。


ここに赤司が帰ってくることはなかった。



それでも待ち続ける私は、誰の目にも馬鹿な女に映るだろう。



……言ってやりたいことが山ほどあるんだ。




「血を吸われたのが怖かったんじゃないんだよ」




確かに、痛かったけどね。




「赤司の目が、私のことをちゃんと見ていてくれなかったからさ」




“私”をちゃんとその綺麗な赤色と金色の瞳に映してくれていたなら。


もしそうだったとしたら、私はきっと受け入れてたよ。



心も身体も赤司を満たしてあげれたよ。




――全部全部、今は伝わらない言葉ばかり。




それでも私は、馬鹿みたいに繰り返していた。




 




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ゆあ - すごくキュンキュンしました! ヤバイですね! これからも頑張ってください! (2017年3月16日 22時) (レス) id: 8e5932bb74 (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 吸血鬼の赤司がかっこいいです。 応援しています! 頑張って下さい^ ^ (2017年2月14日 6時) (レス) id: bf74db187f (このIDを非表示/違反報告)
かずみ - いえいえ!はい!続編おめでとうございます。 (2015年6月7日 14時) (レス) id: 56b9cb16b3 (このIDを非表示/違反報告)
藍沢鳴(プロフ) - フユトさん» ありがとうございます! これからも更新も含めて頑張らせていただきます!! (2015年5月8日 14時) (レス) id: 5e3089a4fd (このIDを非表示/違反報告)
藍沢鳴(プロフ) - さくさん» ありがとうございます! そんな風に言ってもらえて嬉しいです。(^^) これからも頑張ります!(*`・ω・´*) (2015年5月8日 14時) (レス) id: 5e3089a4fd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藍沢鳴 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2015年4月9日 0時

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